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2018年7月 6日 (金)

林業のあり方(その7)

日本林業のあり方(その7)
第2章 日本林業の大転換を(その2)
2、林業の採算性に関する基本的考え方

短伐期・皆伐の収益性は、投資利回りの考え方に基づいている。つまり、投資した資金を回収して、利回りがどのくらいになるかというものである。しかし、日本の短伐期では、収入はよくて1ヘクタール当たり150万円にすぎない半面、植林して育てるまでにコストは200万以上かかる。仮に150万円で逆算すれば、金利負担2%と仮定しても、保育コストは60万円程度に抑えないと投資資金は回収できないことになり、あるべき目標と現実とのギャップはあまりにも大きい。

他方、最終的な収穫に至る期間が100年を超える長伐期では、投資・回収という考え方は適応できない。基本的には、所有林の中で年間どれだけ売上があり、どれだけ経費がかかったのか単年度ベースで収支を見ることとなる。

短伐期が投資・収穫を繰り返す林業だとすると、蓄積があり、ある程度森づくりができあがっているところから始まるのが長伐期であるので、収支計算上、間伐だけを意識すればいいのである。

もっとも、間伐を繰り返していけば、いずれ再造林が必要な時が来る。その場合どうするかが問題である。皆伐と異なり、、、間伐を繰り返していけば、再造林のオプションは広がる。たとえば、空間が大きく開くこともあるだろう。そこに植林すれば、日光の関係で雑草木はあまり入らず、下刈りなどの手間暇は大幅に省略できるかもしれない。また、場所によっては天然更新も可能だろう。つまり、長伐期の場合、造林コストは大幅に削減する余地が広がりうるということだ。


3、無垢材の良いところ

長伐期化は、木を太くして利用することである。それは無垢材の利用が可能であるということだ。

「集成材」とは薄くした木板を、接着剤で張り合わせてブロック状にした木材である。 一方「無垢材」は丸太から切り出したままの自然な状態の木材である。 無垢材は天然の材質なので、割れやひびなども入りやすいですが、集成材などの加工した木材にはない著書がいっぱいある。

山や森で育った原木(丸太)から、使用する大きさに挽き割った木材が無天然垢材である。古来より日本の建築文化に深く根付き、現存する歴史的な寺社仏閣もみな天然無垢材による木造建築だ。日本最古の木造建築物「法隆寺五重塔」など約1400年以上も立ち続けている。天然無垢材は、こんなにも耐久性のある材料であり、それが天然無垢材の最大の長所だが、そのほかにも多くの長所がある。

(1)夏は涼しく、冬は暖かく
木の断熱性はコンクリートの約12倍と言われるほどで、周囲の温度に影響されにくいのが特徴である。 夏、木に触れてもベタつくことなく、とてもさわやか。冬は、ほんのりとした温もりを感じることができる。 木の住まいではエアコンに頼る度合いが低くなるので、からだへの負担が軽減されるとともに、省エネにも役立つ。

(2)湿度を調節する
天然の木は、伐採された後も呼吸を続けている。湿気がおおくなれば水分を吸収し、乾燥すると内部の水分を水蒸気として空気中に放散する、いわば天然のエアコンである。 奈良の正倉院は太い木材を横にして重ねていく校倉造り。1300年近くの時を経た今でも、中の宝物を大切に守り続けているのは、木のもつ優れた調湿作用によるものである。

(3)ダニ、カビ、細菌類に強い
木の精油には、ダニ、カビ、細菌類の増殖を抑える効果がある。 たとえば、ヒバや檜の精油成分であるヒノキチオールは、100~1000ppmの濃度でカビ類、ブドウ球菌、大腸菌といった細菌類の増殖を抑制する。ヒバ、檜、ベイヒバ、ベイスギ、赤松などはアレルギーや喘息の原因となるダニの増殖も抑える。 木のもつ調湿作用によって結露やカビも防止でき、空気をきれいに、快適に保つことが出来るのである。

(4)ストレスを和らげる
森林浴をすると、リラックスして心地よくなるのは、樹木が発する芳香成分(フィトンチッド)の働きによるものである。フィトンチッドには、人間の自律神経を安定させる作用があると言われている。 この作用は樹木が伐採され、木材となっても失われないものだ。木造の住まいなら、中にいるだけで森林浴効果が得られるのである。

(5)地震に強い
「くるい」なく建てられた木造建築の耐震性は鉄骨造やコンクリート造を圧倒的に上回っている。 伐採後に充分に乾燥させた木は、呼吸しながらもさらに乾燥が進み、固化して、いっそう強度を増していくのである。樹齢年数が高いほど強度も高くなると言われている。

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