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2016年9月22日 (木)

中国伝統文化(その19)

中国伝統文化を考える旅(その19)

第2章 天命政治の成功のために(その7)
第2節 政治哲学(その5) 
2、 今皇帝の教育(その1)

多くの学者が政治に関与するという中国の伝統文化を知るためには、晏嬰という人物のことを知らねばならない。問題は、今後、天命政治の成功のために、晏嬰のように、両頭截断されていて、国民第一であると同時に主君第一であると考える政治哲学者が出てくるかということである。つまり、「国民第一とか主君第一とかのこだわりのない政治哲学を持って、時の最高権力者を指導できる哲学者が、共産党一党独裁の中国に、今後、果たして出てくる可能性があるのか」という問題である。中国では歴史的にずっと天命政治が行われてきた。今も行われている。その長い歴史の中で、主君が心底尊敬した「社稷の臣」というのは何人もいた。その中で、もっとも有名な人物が晏嬰である。しかし、晏嬰のような人は、今後、中国に出てくるとはちょっと考えられない。「国民第一とか主君第一とかのこだわりのない政治哲学を持って、時の最高権力者を指導できる哲学者が、共産党一党独裁の中国に、今後、出てこない。」とすれば、中国における天命政治は終わるのか? 天命政治が終わるということは、民主政治になるということだが、それは一つの矛盾であって、共産党一党独裁の中国が乗り越えなければならない根本問題である。どう乗り越えるか? 晏嬰など「社稷の臣」の思想に学ぶべき点は、非常に多いので、中国共産党の最高権力者、私は「今皇帝」と呼んでいるのだが、その「今皇帝」に対して「天の道」を教えるにはどうすればいいのか? そういう観点から言えば、今後の天命政治を考える上で重要になってくるのは、歴史的に言えば、「黄老思想」である。

黄老思想で政治を指導した人に曹参という人がいる。曹参は、劉邦が最も信頼していた蕭何の弟子である。ある時、恵帝の問いに答えて、「陛下は私の能力を見て蕭何とどちらが優れていると思われますか」と問うた。恵帝は、あなたはおよばないだろうと言った。そこで、曹参は「そのと おりでございます。高帝(劉邦)は蕭何とともに天下を平定し法令はすでに明白です。我々はそれを遵守すればよいのです」と言った。恵帝は納得して、曹参の思うまま黄老政治を行わせた。私がここで黄老政治というのは、もちろん黄老思想に基づく政治のことである。
黄老思想(こうろうしそう)は、中国、戦国時代から漢代初期にかけて流行した道家の一学派の思想であり、その学問を黄老の学という。黄老道(こうろうどう)とも言う。君主が天道に背く君主の勝手な行動をとることを禁じ、また秩序維持のために社会に過度に干渉することは避け、さらに統治にかかるコストを下げるべきとする考えであり、漢代初期においては最も影響力をもった思想であった。『老子』をその思想的根拠とする。黄老の学は、政治面における老子哲学といってよい。



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