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2016年9月 8日 (木)

中国伝統文化(その9)

中国伝統文化を考える旅(その9)

第1章 道教文化(その6)
第3節 道教の面白さ(その3)
1、仙人思想と仙薬(その3)

さて、神仙の徒・道家もその多くが淮南王の劉安のもとに集まった。 そこで編纂された書物は、淮南王が討伐されたときになくなったが、その内容は 葛洪(かっこう) に伝わっていたようだ。葛洪(かっこう)作の『抱朴子(ほうぼくし)』の内篇に引かれている『八公黄白経』『枕中(ちんちゅう)黄白経』『鴻宝(こうほう)経』『鄒生延命(すうせいえんめい)経』などがそれと関係があるらしい。

その後、 後漢(25年~220年)末には、国政も乱れて、儒教にかわって老荘思想が盛んになった。そして、原始道教教団とよばれる張陵の五斗米道(ごとべいどう)や、干吉(かんきつ)と張角の太平道などもおこった。神仙説を取り入れたこれらの教団は、老子を尊び、符水(御札(おふだ)と神に供えた水)と鬼道による治病を主とする教法によって多くの民衆を集めた。神仙思想が復活したのだ。 葛洪の『抱朴子』のなかに『甲乙(こういつ)経』『太平経』『天師神器経』『鶴鳴(かくめい)記』と記されている経巻は、これらの教法に関係があるものであろう。

これらのことから、葛洪が神仙思想の集大成者といわれるのも当然である。葛洪の思想形成については、私の論考があるので、ぜひ、ご覧いただきたい。
http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/katukou.pdf


彼の『抱朴子』内篇には、仙を求める人は、忠孝和順仁信を本として、善行を積んで身中の三尸虫(さんしちゅう)や竈(かまど)の神が罪を天帝に報告しないようにすることのほか、胎息(たいそく)(呼吸法)、房中(ぼうちゅう)(保精術)、服薬のことなどが説かれている。
三尸の思想は日本にも伝わった。その中国伝来文化の「三尸の思想」については、私の論考があるので、ぜひ、ご覧いただきたい。
http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/sansisiou.pdf


葛洪は、動植物のなかから、鶴や亀や菌(きのこ)などを、長生に役だつものとして紹介している。しかし、丹砂を材料とした錬金術によって還丹金液(せんたんきんえき)の大薬が完成すれば、他の薬物や仙術を用いないでも昇天できるとする。彼は、仙人についても、白日昇天する天仙や、地上の名山に遊ぶ地仙や、死後に仙を得る尸解(しかい)仙がある、という。『抱朴子』は『日本国見在書目録』に記されていて、宇多(うだ)天皇のときにはわが国にあったことが知られる。神仙思想は、日本だけではなく、朝鮮や東アジアの諸国にも伝えられており、中国におけるのと同じように、それぞれの国の文学や美術のなかに表現されている。




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