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2016年8月10日 (水)

シャングリラ(その37)

シャングリラ(その37)
第3章 政治改革・当面の課題(その9)
第3節 チベット問題について(その3)

ダライ・ラマ14世は2011年3月、自らの政治的権限を「チベット人が選挙で選ぶ人物」に移譲するよう提案した。ダライ・ラマ14世は、当時75歳で、CNNによると「適切な時期の引退」をかねてから表明していたという。
インド北部ダラムサラにあるチベット亡命議会は2011年5月28日、同政府の憲法に当たる「亡命チベット人憲章」を改正し、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の政治的引退を承認した。29日にダライ・ラマ14世による批准を受け、憲章の改正が成立した。
 これで、ダライ・ラマ14世が持っていた政治的権限は、亡命政府の首相らに移譲されることとなった。そして、チベット亡命政府では2011年3月、新首相の選出が行われ、米ハーバード大学の研究員、ロブサン・センゲ氏が亡命政府の新首相に選ばれた。チベット亡命政府の選挙管理委員会によると、センゲ氏は同選挙でおよそ55%の票を獲得したという。
ロブサン・センゲ氏は、ハーバード大学卒で2011年現在43歳である。選挙で選出された後チベット亡命政権の主席を務め、2014年8月に3年の任期を終えた。そして、昨年2015年10月に首相予備選が行われ、今年の7月に首相本選挙が行われる予定である。
首相本選挙首相選は、昨年2015年10月に行われた予備選を勝ち抜いた現職の国際法学者、ロブサン・センゲ氏と議会議長のペンパ・ツェリン氏の戦いで、予備選で66%強を得票したセンゲ氏が有利とみられている。今回は、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が政治からの引退を表明してから2度目、正式に政治権限を首相に譲ってからは初めての選挙となる。有権者は、各国の亡命チベット人約9万人で、首相の任期は2016年8月から5年間である。
首相候補のセンゲ 氏とツェリン氏はいずれもチベットについて中国からの独立ではなく、「高度の自治」を求めており、どちらが当選しても亡命政府の従来の方針に変更はなさそうだ。完全独立を主張する候補は予備選段階で姿を消した。ただ、中国政府は高度の自治も事実上の独立とみなしており、今のところ、習近平政権はチベット亡命政府との対話の扉を閉ざしたままだ。
センゲ 氏とツェリン氏のどちらが新首相になるかわからないが、上述したように、私は、チベット亡命政権の新首相が国の直轄区域、国の義務教育、漢民族の移住を認めない限り、習近平は納得しないと思う。問題は、ダライ・ラマ14世から政治権力を委譲された新首相がそこまで妥協できるかどうかにかかっている。ダライ・ラマ14世の政治的権力はなくなったが、政治的権威は未だ残っているようなので、私は、新首相がそこまで妥協できるかどうか、不安である。

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