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2016年7月19日 (火)

シャングリラ(その16)

シャングリラ(その16)
第2章 中国という国(その3)
第2節 宗教について(その1)

1、道教の二面性

第1節において、道教がどういう宗教なのか、その概要を書いた私の論文を紹介した。http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/doukyouni.pdf

道教は、老子を教祖とした宗教であるので、そのなかに誠に奥の深い老師哲学を含んでいるのは当然としても、何故あのように面白い神が多いのか不思議である。論文ではその説明がしていないので、それをここで説明しておきたい。

道教はもともと自然発生的に生まれた宗教であるが、それが老荘思想と結びついて、いつ頃から道教という宗教団体ができ たのか、浅学の私には判らない。しかし、老荘思想は、「淮南子(えなんじ)」という書物によって、漢王朝(光武帝)の儒家思想に対抗する形で確立されるの で、その宗教団体の名称はともかく、 漢王朝(光武帝) の時代には現在と同様の「哲学的宗教」が成立していたことは間違いないと思う。その後、「太平道」や「五斗米道」、そして新天師道などの宗教団体が出てくるが、それらの 教祖はもちろん老子ではない。どうも老子が道教の教祖と言われ出したのは唐の時代かららしい。唐王朝の王室には、老子(李氏)の子孫と自認する人が多く、 道教は特別の保護を加えられ優遇されたことに起因するらしいのである。したがって、少なくとも現在は、一般に老子が道教の教祖と言われている。老子という 人物が果たして実在の人物であったかどうか、疑問視されている向きもないではないが、私は、多くの中国人の認識に従って、老子を実在の人物とし、道教の教 祖を老子としたいと考える。

中国の道教は多神教であり、日本の場合と違って、実に面白い神を多い。それは、5世紀、中国・南北朝時代に、 寇 謙之(こう けんし)が神仙思想を基にした道教を始めたからである。神仙思想を基にした道教を神仙道教と呼ぼう。道教の様々な面白い神が老荘思想から生まれたわけではない。 寇 謙之(こう けんし)から発達した神仙道教に 実に面白い神を多いのである。
では、神仙思想とは何か? 仙人とは、道教の真理である、道(タオ)を体現した人とされるが、その仙人になるための方法論が神仙思想である。中国では、歴史的にさまざまな仙人が出てきているし、その方法論も時代とともに非常に発達してきた。仙人に関わる伝説も多いし、仙人の世界というのは実に面白い。

「老荘の思想」と寇 謙之(こう けんし)の始めた道教とは、本来、関係はないが、現在、道教といえば、隋や唐の時代に発達した道教の他に、寇 謙之(こう けんし)の始めた道教も含んでおり、しかもそれら道教の教祖は老子ということになっているので、寇 謙之(こう けんし)から発達した神仙道教を含む現在の道教、それらを支える哲学は、老荘思想ということだ。道教は、詳しくいえばこういう歴史的背景があるのだが、ひとくちに言って、道教の哲学は老荘思想ということだ。



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