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2016年7月13日 (水)

シャングリラ(その10)

シャングリラ(その10)

第1章 シャングリラという所(その8)
第2節 梅里雪山(その6)

それでは、再度、梅里雪山の最高峰・カワカブを見ておこう。

京都大学学士山岳会・小林 尚礼(こばやし なおゆき)君の説明によれば、カワカブ(漢語名:太子雪山、標高6,740m)は、伝説上の山群の主(あるじ)である。仏教が伝わる以前、カワカブはロンツェン・カワカブと呼ばれ、災いをもたらす鬼神だったという。それは9つの頭と18の腕をもつ恐ろしい姿をしていた。 やがて、チベット仏教ニンマ派の開祖グル・リンポチェによって調伏され、仏教の守護神ネンチン・カワカブに変わったと伝えられている。

なお、京都大学学士山岳会・小林 尚礼(こばやし なおゆき)君のホームページには、
梅里雪山の巡礼についても詳しい説明があるので、それをこの節の最後に転記させていただくこととする。
南北につらなる梅里雪山の山群を、長大な巡礼の道が一周している。一周約300km、徒歩で10日以上かかる道である。瀾滄江(メコン川)の本流から、標高4,000mをこえる分水嶺をこえて怒江(サルウィン川)へいたり、再び分水嶺をこえて瀾滄江へ戻る。
 谷底はサボテンが生えるほど暑く乾燥し、分水嶺の峠は一年の半分近くを雪に覆われる。最低所の標高は1,700m、最高所は4,815m。多くの上り下 りを繰りかえす山道であり、とくに登下降の厳しい峠が5つある。その長く過酷な巡礼の道で、命を落とす人もいるという。この巡礼路をチベット仏教徒は毎年 数多く訪れるが、外国人で歩いた者は数えるほどしかいない。この過酷な道を、チベット人はなぜ巡るのか。 

 彼らは、回るという行為に重きをおく。お経の入ったマニ車を回し、寺院の周囲を回り、聖山や聖湖の周りを回る。回る行為は、お経を読むことと同じ価値が あるという。彼らは、聖山を巡礼する目的を「現世の幸せのため」、そして「よりよい来世のため」だという。過去に犯した罪を帳消しにするためや、病気がち の体を治すために巡礼するという人もいる。

 梅里雪山の巡礼はいつごろ始まったのか。
 巡礼路沿いの岩には、ロンツェン・カワカブを退治したとされるグル・リンポチェの「足跡」が残されている。グル・リンポチェは8世紀に実在したとされる人物だ。梅里雪山の巡礼は千年以上前から行われているという話があるが、その数字は大げさなものではないかも知れない。カワカブの巡礼は、一生に3度行くことが望ましいと言われている。一度は父のため、一度は母のため、一度は自分のためである。
西側から見た梅里雪山:http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/syan111.jpg
梅里雪山一周の巡礼路:http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/syan112.jpg

京都大学学士山岳会・小林 尚礼(こばやし なおゆき)君のホームページは次のとおりである。
http://www.k2.dion.ne.jp/~bako/introduction2.html


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