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2016年5月13日 (金)

山地拠点都市構想(その141)

山地拠点都市構想(その141)

第6章 山地拠点都市構想の実現に向けて(17)
第3節「自立的発展」を目指す(4)
1、山地の新たな「産業おこし」(3)

(3)不燃化木材

日本は山国である。国土面積の約70%が山だという国は世界でも珍しい。そして、日本の登山の歴史はとても古く、世界に類を見ないほどである。西洋では、山は悪魔の住むところとして近代まで近寄る人は少なかったようであるが、わが国の場合、縄文時代にすでに山頂で祭祀が行われていた。また縄文時代は日々の生活においても霊山を崇めながら生活していた。石器時代の狩猟生活を考え合 わせてみれば、日本人の山との関わりあいは相当に古い。
縄文時代の霊山信仰は、仏教や神道などの宗教、哲学的思想と結びついたりしながら、近世中期以降には観光的要素も加わって、カタチを変えては現代にまで日本の民族宗教として展開してきている。この間の経緯については、宮家準(「霊山と日本人」)が多角的 な視点から論じている。

山が荒廃している。切り捨て間伐が常態化し山の生態系が壊れている。これは由々しきことだ。日本の場合、山は日本の風土の基本をなすものである。それが荒廃するということは、日本の風土が壊れることであり、故郷(ふるさと)が喪失するということである。それはとりもなおさず世界に誇りうる日本文化が消えていくということであって、日本が世界平和のために大いなる貢献をするなどということは夢のまた夢になってしまうのではないだろうか。しかし、今ならまだ間に合う。早急に国民的な議論を巻き起こして各方面にアッピールしていきたいものだ。
故郷(ふるさと)を喪失させてはならない。故郷(ふるさと)を喪失するということは、佐伯啓思が言っているように、日本国民がニヒリズムに陥りかねないという問題も含んでおり、これはまさに国是に関する重大問題でもある。

文化とは、中西進によれば、心の世界に関する教養の総体のことだが、日本は間違いなく「木の文化」の国である。わが国の「木の文化」については、小原二郎の「木の文化」(1972年、SD選書)と「法隆寺を支えた木」(1978年、NHKブックス)に詳しい。わが国は、スギやヒノキなどの針葉樹を中心に、その特性を生かした建築技術を発達させ、さまざまな木工技術を蓄積してきた。それらの技術によって桂離宮に見られるような美の極致とでもいうべき木造家屋も造ったが、そういうわが国の優れた建築技術は一般住居のいたるところに生かされている。庶民の住宅でも実に美しく、畳や障子などといったいになって心休まる居住空間となっている。そればかりではない。ご神木というものの存在を見ても判るように、わが国民には木に対して「信仰心」とでもいうべき心情を育ててきた。建物にしろ家具にしろインテリアにしろ、木には私たちの心を安らかにする力を秘めているように思われる。

以上のような基本認識に立ち、私たちは、木材の付加価値を高めて、林業の復活を図ると同時に、都市における不燃化を図るという目的から、平成24年、「一般社団法人・都市防災不燃化協会」を設立して活動を開始した。国土交通省、全国自治会では木造密集市街地の不燃化対策をはじめとして、「都市防災不燃化促進事業」の取り組みが始まっている。私たちは、そうした社会的ニーズに応えるために、正しい不燃化の知識と技術の普及を図り、もって、より安心安全な環境整備に貢献していく覚悟である。そして、山を守り、山村を守り、木の文化の復活を図って参りたい。

今日本列島は不気味な地殻変動が起こっている。大地震が現実的な驚異になってきている のだ。大地震で一番怖いのは火災である。都市防災として建築物の不燃化に全力を挙げて 取り組まなければならない。 間伐材の付加価値を高めて、林業の復活を図ると同時に、都市における不燃化を図ろうと する動きが具体化してきている。その動きが目指す「不燃化木材」は、低層住宅の内装材としてそれを使うことによって火災に対して絶対安全な「シェルター」を作ることができる。さらに、高層住宅、たとえば5階建てのマンションとか10階建てのマンションとか、絶対に燃えない不燃化マンションを造ることができる。これらの「不燃化木材」は、 間伐材をかつらむきしてつくる集成材(合板)を使用するもので、間伐材の付加価値が高ま り、林業が蘇る。今この不燃化木材が大きくクローズアップされてきているのである。是 非、不燃化木材の普及を図るとともに、全国のブロックごとに不燃化木材木材の生産工場と山地拠点都市での間伐材の供給体制をつくりあげたいものだ。



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