« 御霊信仰(その5) | トップページ | 山地拠点都市構想(その138) »

2016年5月 9日 (月)

老子とハイデッガー(その2)

老子とハイデッガー(その2)

ハイデッガーの根本的自然ならびに世界四元体論(1)

現実的なもの、それは岩石、植物や動物、河川流や天候や天体のことであるが、これらの自然を成り立たせているものは宇宙の原理であり、それはハイデッガーの言う「根源的自然」の働きによる。つまり、そのような現実の自然を支えているものは根源的自然である。また、諸民族の命運、神々を支えているのも、現実の自然を支えている根源的自然と同一のものである。さて、宇宙の原理とは何か? それを老子は「道」と言っているのだが、ハイデッガーは根源的自然の「臨在」と言っている。

問題は、ハイデッガーの言う「根源的自然」は何かということである。以下に、順次説明しよう。

藤本武という新潟膏陵大学福祉心理学科教授の「ハイデッガーの自然哲学について」という論文 がある。その論文から要点を抜粋して、説明に変えたい。その論文では、次のように述べている。すなわち、

『 伝統的自然観に影響されて、初期のハイデツガーは用具的自然観を展開していると思える。南ドイツのシュヴァルツヴアルト 地方の自然に包まれて育った野生者の哲学者ハイデッガーがヨーロツパ哲学全体の超克を意図しながら、初期の段階では伝統的自然観を踏襲しているところが、ハイデッガーの複雑な面であると言えるだろう。何故なら、伝統的自然観を踏襲しな がらも、一方ではそれを超える自然観を隠し持っているからである。』

『 1950年代初頭にな ると、ハ イ デツ ガーは、1930年代後半に展開した自然大地論を発展させて、四元体論を構想している。』

『 自然とは常住 する も のを恩恵として授ける大地と天であ り、世界は天と大地、神的なものと死すべきものという四者で構成される四元体であるという四元体論が展開されている。四元体を形 成する四者は、それぞれ独立していながら、 多層体として一体であるとされる。この四者が多層体として一体であるのは、自然の恩恵である。 この四者というべきか、四次元というべきであるかの各々についてハ イ デツ ガー は以下のよ う に説明している。大地とは、建てつつ、支えるもの、養いつつ結実するものである海洋と岩石、植物と動物である。天とは、太陽の運行、月の干満、星辰の輝き、一年の四季、一日の光明と薄明、夜の聞と星光、天候の恵みと災い、と大気の流れと空の紺碧である。神的な も のとは、神性を指し示め す使者たちのことである。神性の隠 された力の中で、 神は自らの本質を現わ すのである。死すべきものとは、人間のことである。 人間は死ぬことができる存在であることから、人間は死すべきものと呼ばれる。死ぬことは、 死を死として受けとめることである。  人間のみが死ぬことができ る。動物は絶命するだけである。死すべきものとは、人間存在としての存在の本質的な在り方である。』

『 存在は自然であり、自然の中に人間存在も含まれという視点が新たに展開されている。』

『 この時点でハイデッガー は世界概念を自然概念に転換させている、と言える。 いまだ秘隠されてはいるが、世界はそうした根源的自然に支えられている。』



« 御霊信仰(その5) | トップページ | 山地拠点都市構想(その138) »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1117507/65388631

この記事へのトラックバック一覧です: 老子とハイデッガー(その2):

« 御霊信仰(その5) | トップページ | 山地拠点都市構想(その138) »