« 老子(その16) | トップページ | 山地拠点都市構想(その120) »

2016年1月19日 (火)

継体天皇の謎(その8)

継体天皇の謎(その8)

第2章 わが国と朝鮮半島との繋がりの歴史について(1)
第1節 わが国の古代朝鮮との繋がり(概要)(1)

私の論文「邪馬台国と古代史の最新」より、古代朝鮮への進出に関連する記事をピックアップすると次のとおりである。

九州での磐井氏の出現は、畿内の豪族たちの考えを大きく変えるきかっけとなった。北九州が大和政権に反発する地域 になることは、当時としては唯一鉄の輸入窓口を押さえられることであり、大和政権の維持は出来なくなる。これをどうするか、多くの畿内豪族は、この一点で 意見が一致した。つまり、磐井氏に対抗できる強力な天皇が必要になったのである。 継体の母は「振媛」で、振媛の母親は加羅国王の娘といわれている。つまり、継体は、父は応神天皇の血を引く畿内豪族・息長氏で、母は加羅国王の血を引いていたので、新羅と対抗できると見られたのである。

振媛の母親が伽耶国出身というのは黒岩重吾の説であるが、私もそう思う。記紀によると、継体天皇は応神天皇5世の子孫であり、その応神天皇は新羅系である。この点については、藤原氏の権威とは関係しない部分であるので、私は、応神天皇や継体天皇に関する記紀の記述にごまかしはないと思うのである。

継体天皇の大和入りは、大伴・物部・蘇我・巨勢などの豪族の合議によるものであったが、平群氏、三輪氏、葛城氏は大反対であった。さあ、そこで問題なのは、 なぜ蘇我氏は継体天皇側についたのかということだ。蘇我氏が新羅系ということもあるかもし得ないが、実は、次のような事情もあったのである。
越前の国・三国の坂中井は、九龍川の下流域に位置し交通の要所であった。「国造本紀」によれば ここに三国(みくに)の国造が置かれ、蘇我氏一族の若長足尼(わかながのすくね)がその任にあたっていた。蘇我氏が、継体天皇の嫡子である欽明天皇の時代に台頭してくる豪族であることを考えると、この蘇我氏と継体天皇の結びつきはおもしろい。
蘇我氏は、そのために葛城氏を裏切るのだが、ともかくそうした経緯を経て、十数年後に継体天皇は、葛城からはほど近い「磐余の玉穂宮」で即位する。そして、その2年後に継体は 新羅・磐井の連合軍と戦っている。そのころの磐井は、勢力を伸ばし、北九州をほとんど制圧していた。一方、朝鮮半島では新羅が倭国と関係の深い加羅を併合し始めていた。継体天皇はこれと戦ったのである。いわゆる磐井戦争は、畿内からは物部氏、大伴氏などの軍事力が主力であった。戦争は1年ほど続き、物部麁鹿火(もののべのあらかひ)が御井(みい)で磐井を破った。この段階で、大和朝廷は、天皇を中心にした、物部氏と蘇我氏の二大巨頭体制ができ上がる。葛城氏は完全に衰退してしまうのである。葛城氏に蘇我氏が取って代わったということだ。かくて、葛城の主は蘇我氏となったのである。

弓月君が率いる秦一族が 加羅(から) から大挙大和にやってきたのは応神天皇の時代である。しかし、実は、応神天皇が産まれる以前から、秦氏は 加羅(から) から大和にやってきていたらしい。加羅(から)は、百済と新羅に挟まれるようにして朝鮮半島の南端にある小国だが、伽耶(かや)とも呼ばれたりしている。加羅(から)と呼ばれる以前は、弁韓と呼ばれていた。 加羅は、弁韓ができる前の縄文時代から倭国の人々がいたところで、縄文土器、糸魚川の翡翠、九州腰岳産の黒曜石などが発見されている。したがって、加羅(から)は朝鮮といえば朝鮮だし、倭国といえば倭国であるという、まあ両方の国の人びとが住んでいた特殊な地域であったのである。だから、私は、加羅は加羅だと考
えた方が良いと思う。無理に朝鮮だとか倭国だとか決めつけない方が良いと思う。中世の大阪の堺(さかい)のように、むしろ商人による自治組織の発達した特殊な地域と考えた方が良いのかもしれない。そこでは、私のいう大商人が活躍していた。加羅地域では、ヤマト朝廷から派遣された倭人の軍人・官吏並びに在地豪族がともに協力し合って、当地で統治権を有していたことが学者の間でも有力視されているが、私は、加羅地域は、大商人による自治組織の発達した特殊な地域であったと考える次第である。その加羅に、秦一族がどのように定着していたのかは、明確な説明はできないが、私は、秦氏の始祖・功満王も加羅に定着し、リーダー的存在として活躍していたと想像している。

« 老子(その16) | トップページ | 山地拠点都市構想(その120) »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1117507/63541799

この記事へのトラックバック一覧です: 継体天皇の謎(その8):

« 老子(その16) | トップページ | 山地拠点都市構想(その120) »