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2016年1月29日 (金)

山地拠点都市構想(その124)

山地拠点都市構想(その124)

私は、前回の「つぶやき」、山地拠点都市構想(その123)において、大平正芳の「田園都市構想」とか竹下登の「ふるさと創成」を振り返ると同時に、『第4次全総計画の総点検を点検する』と題した私の論文を紹介した。その後、わが国の国土政策について、大変大きな動きがあり、現在に至っている。

つまり、我が国の国土政策の根幹を定める国土総合開発計画の根拠法である国土総合開発法は、昭和25年制定当時の社会経済情勢を背景に、開発を基調とした量的拡大を指向したものとなっていたので、その後の情勢変化によって、国土総合開発法を抜本的に見直す必要が生じてきたのである。すなわち、地方分権や国内外の連携に的確に対応しつつ、国土の質的向上を図り、国民生活の安全・安心・安定の実現を目指す成熟社会にふさわしい国土のビジョンを提示する上で、計画制度を抜本的に見直すことが必要になったのである。

その結果、平成17年7月に国土形成計画法が成立した。その当時の考え方は、国土審議会調査改革部会の議事録や「国土政策-国土計画のあり方-」という報告書で確認することができる。国土交通省の認識は、当時も現在も基本的に変わっていない。

さらに、「四全総総点検を点検・・・地域づくりの哲学はあるか」という 私の論考とも矛盾はない。当時のスタンスとしては、『 国民の価値観が多様化する中で、自らの価値観によって多様なライフスタイルの選択が可能となる「多選択社会」をどのように実現するか』というまさに「知恵のある国家」のあるべき姿を模索しようとするスタンスがあり、「二地域居住」にも眼が向いている。そのようにして「国土形成計画」の策定に至るのである。すなわち、現在の「国土形成計画」は、長い間、考えに考えを重ね、議論に議論を重ねてでき上がったものである。不十分な点もない訳ではないが、今後、「山地拠点都市構想」を進めていく場合は、やはり現在の「国土形成計画」をベースにおいて進めるべきであろう。

国土形成計画が策定された2008年以降、2009年には農文協から「シリーズ地域の再生」という本・全21巻がでて、地域再生の教科書的な本になっているし、2014年には日本創成会議から『 成長を続ける21世紀のために「ストップ少子化・地方元気戦略」』という報告書がでて、国土政策に貴重な示唆を与えている。しかし、それらは総合性に欠け、特に「新たな公」を基軸とする地域経営システムを目指すという視点が欠けている。

国土形成計画では、
⑦ 美しく、暮らしやすい国土の実現を目指し、「『新たな公』を基軸とする地域づくり」を戦略的目標として掲げ、多様な主体の協働によって、効果的に計画を推進する。
⑯ 「新たな公」を基軸とする地域経営システムや地域課題の解決システムの構築を目指す。

ということを言っている。今後、「山地拠点都市構想」を進めていく場合は、やはり現在の「国土形成計画」をベースにおいて進めるべきであろう。

私の考えでは、「新たな公」とは農家を主体とした地域の生活協同組合であり、地域通貨に支えられた組織であって、地域の「自立的発展」を可能とするものである。 地域の「自立的発展」とは、国や都道府県や市町村に頼らなくても、地域が自立的に発展するものである。それを可能にするには、地域通貨しかない。

地域通貨については、浜矩子の著書『「通貨」はこれからどうなるのか』(PHP研究所 、2012年4月)という本がある。

第1章で通貨の全体像を概観し、第2章で21世紀の通貨のありかたとしての「地域通貨」の活用(現実にあるフランスやスイスの地域通貨を紹介)、第3章では欧州の分裂(国家間の南北問題)と今後、第四章で1ドル50円時代の日米関係を解説。第5章では、結論として、国家や政府に吸収されずに強大な力となって世界を荒らしている「マネー」を飼いならすために「基軸通貨」から「地域通貨」の時代へ変わってゆく事が必要という提言がなされている。

この本の「はじめに」浜矩子は次のように言っている。すなわち、

『 ヒト、モノ、カネが国境を越え世界を荒し回っているグローバル時代、国の求心力が衰える中で、むしろ、かえって再び地域共同体が復権する兆しが見える。巨大組織が人びとを抱きとめる包摂力を失う中で、人びとが互いにつっかえ棒となり始めているようだ。そんな分かち合いの新たな構図が、ちらちらとながら、垣間見えるようになってきた。』

『 ヘーゲル曰く。「ミネルバの梟は黄昏時に飛び立つ」。ミネルバは知恵の女神。梟はその使者である。我欲の神々の時代が終わる時、新たな時代が到来する。こうして、我々は明日に向かって飛翔する。ミネルバの梟とともに。』・・・と。

地域通貨は、山地拠点都市構想の中心課題になっている。そこで、次回の「つぶやき」からは、いよいよ最終段階の「つぶやき」として、山地拠点都市構想の定義を明らかにした上で、地域通貨を前提に、多くの具体的課題について私の持論を展開していきたいと思う。

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