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2016年1月17日 (日)

老子(その14)

老子(その14)
老子哲学の哲学としての一大特徴(5)

古代日本人は道教の医療倫理をそのまま移入し、日本的な考えに昇華してきた。 そうした中国の先進的な医療観が日本の代表的な医書 に多数引用されている。その代表的な古代の医書が「医心方」である。
道教とは、中国の原始的な民間信仰から派生した「不老不死」や「不死長生」を目的とする「神仙思想」 で、複雑で雑然としている漢民族固有の宗教である。 そこには、誰でもが願う現世の幸福観である「健康で長 寿の生き方」が求められている。従って、道教では 人間は心的な平安や不動の態度を求める「寡欲」、「安 寧」、「抑制」などが問われている。それは医療倫理に も深く係る行為でもある。当時の中国人の医療倫理観 は、こうした道教思想に基づいた考え方が基本にあるという。
道教では、「養生」の道は心身の調和に関係し、不老長生を目的としたので、心身の調和融合を重視した。道教の養生思想は、老子哲学に繋がるものである。哲学であるが故に科学では説明できない部分もあるが、宇宙の原理を思考しているので理にはかなっているところが多い。淮南子の「良医は病無き之病を治す」は、「養生とは、まだ病とは言えない内に病を治めるのが目的であり、精神を養うのが最上であり、身体を養うのはその次である。」という意味であるが、道教の考え方である。そのとおりであろう。
「医心方」は、 孫思邈(そんしばく)の『千金方』、陳延之の『小品方』、葛洪の「抱朴子」などの道教に関係のある医書からも多数引用されている。 貝原益軒が著した有名な「養生訓」は、『頤生輯要』が基になっているが、『頤生 輯要』に養生や長寿に関する記事が多いところを見ると、道教に関係する医書からの引用が多いということであろう。
「医心方」も「養生訓」もその背景に「老子哲学」があると言って決して過言ではないだろう。再度申し上げるが、 古今東西、世界の哲学の中で、養生や長寿に関する思想を持つ哲学はない。

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