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2015年11月 2日 (月)

ネパールの陰(その2)

ネパールの陰(その2)
ネパールの陰
2、児童婚について(1)

確かに、カトマンズは、「女神と生きる天空の都市」である。しかし、そのような女神の力の及ばない山間僻地があるのも事実である。したがって、そういう僻地では、児童婚が行なわれていて、神の力が無いに等しい。 児童婚はネパールの僻地ではよく見られる悪しき伝統的な慣習である。ネワール人社会であるカガティ村はこうした慣習が見られることでよく知られている。しかし、児童婚は世界的な問題であって、国連でも問題視し始めた。
国際NGOプランは、2007年から、女子教育の普及や早すぎる結婚の問題を中心に、­世界の女の子を応援するBecause I am a Girlキャンペーンを始めた。そして、最初、2012年に、"Too Young to Wed"(結婚するには早すぎる)というプロジェクトが国連本部で開かれ、現在は移動展示会として国連本部以外でも開かれている。しかし、児童婚廃絶のこの動きは、まだパネルの展示会だけで、単なるキャンペーンでしかない。

児童婚は、世界各地でいまだに残っている悪しき慣習である。年齢が10歳から15歳ぐらいのうら若き少女たちが結婚とはどんなものなのかもわからないまま、土地の風習に従って結婚させられていく現状を変えなければならない。それが国連の意識である。しかし、国際社会では未だにいくつかの誤解があるようだ。
第一の誤解は、児童婚は稀(rare)であるという誤解であるが、児 童婚は決して稀なものではない。開発途上諸国では3人に1人の結婚が18歳未満で行なれている。UNFPAの最新推計では、2015年だけで 1350万人の18歳未満の少女が結婚すると推計されている。そのうち約440万人が15歳未満である。

第二の誤解は、児童婚は、イスラム諸国、アフリカ諸国、貧困諸国で起こっているという誤解である。実際には、児童婚は、文化や宗教に関係なく、世界中で行われている慣行だ。豊かな国々と言われている米国、英国などを含む西欧諸国においても行われている。しかし、これらの国々でも主要な要因や理由のひとつは、やはり貧困だ。東ヨーロッパや中央アジアでは結婚の10%が児童婚である。アラブ諸国では 19%。他の西・中央アフリカ地域では43%にまでなる。大半の児童婚は最も人口の多いアジア・太平洋諸国で行われていて、4000万人を超える少女 が18歳未満で結婚している。

第三の誤解は、児童婚の終焉は他国の干渉を受けるものではなく、それぞれの国が決定することであるという誤解である。国連は、すでに児童婚は人権問題であると既定している。少なくとも二つの世界的な合意で児童婚は禁止されている。「子どもの権利条約」や「女子差 別撤廃条約」である。これらの条約にはほぼすべての国々が調印しているが、児童婚はなくならない。児童婚は国の決定でなくなるのではなく、根本的には、に起因している。

第四の誤解は、厳しいペナルティを課せばこの慣行を止めることができるという誤解である。ほとんどの国々で、児童婚に対する強力な法律などをすでに施行している。しかし、このような法律のみで児童婚を止めることができるとは考えられない。根本的には貧困を無くさなければならないが、それだけでも不十分で、地域コミュニティに宮沢賢治のような慈悲の人が出てこなければならない。あわせて教育の普及が求められる。


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