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2015年10月 7日 (水)

近代国家の責任(その7)

近代国家の責任(その7)
4、中国という国について(3)
中国人が古くから持ち続けてきた民族的自負の思想がある。中国は、歴史的に、中華思想を中心とした世界観の中で、君臨しきた。しかし、眠れる獅子といわれた清朝がもろくもアヘン戦争で負けて以来、欧米列強からは半植民地化されてきた。遂には、かつて中国から見れば中国の文化の外にある「東夷」だと思われた日本にも、1894年に勃発した日清戦争に大敗を喫してから以降、日中戦争を通じて中国は苦杯をなめ続ける。日本は、太平洋戦争によって、アメリカ軍に破れて日中戦争も終戦を迎えるのであるが、もしアメリカとの戦いがなければ、恐らく日中戦争は中国の大敗に終わっていたのではなかろうか。
このような体験から中国は「力がなければやられる」という軍事力による安全保障を重視するようになったようだ。毛沢東が「政権は銃砲から生まれる」と述べたと言われているが、軍事力を重視する信条が今日でも中国には残っている。経済建設に必要な平和や安定は多くが軍事力によって保証されると見ている。しかも中国には歴史的な中華思想があるから、自然にアメリカを意識して軍事力の拡大を図ることとなるのであろう。実際、中国には 1980 年代の後半に、いわゆる「戦略的国境論」という論文が軍の機関誌・『解放軍報』に出たことがある。「戦略国境」という概念が今も生きているように見受けられる。具体的には、例えばアメリカの空母機動部隊がインド洋に進出すればそこにアメリカの支配力が及び、それがアメリカの戦略国境の拡大になるという見方である。

このように、 中国の場合は、軍事力拡大が国の最優先課題であり、中国ならではの論理で軍事力拡大が行なわれているのである。それをひと言で言えば、歴史的な中華思想に基づいている。中華の国、中華人民共和国としては、経済対策など他の予算と関係なく、軍事予算が使われざるを得ない事情にある。

上述したように、 中国の経済発展は誠に目覚ましいものがある。しかし、人口があまりにも多すぎるので、貧困問題がなかなか思うように進まない。さらに、環境問題、感染症や食糧の安全の問題もある。一方で、軍事力の拡大にも取り組まなければならない。 これが中国の最大の悩みだ。したがって、円借款は除外するとしても、貧困問題、環境問題、感染症や食糧の安全の問題については、引き続き対中政府開発援助を続けていかなければならない。対中政府開発援助に関連して、中国の国民からも感謝の気持ちが伝わってきており、私は、日中友好親善のためにも対中政府開発援助の予算は削減してはならないと思っている。

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