« 山地拠点都市構想(その97) | トップページ | 近代国家の責任(その2) »

2015年9月18日 (金)

宇宙のリズム(その9)

「宇宙のリズム」について(その9)

1、今まで勉強してきたこと
(4)祈祷について(その3)

叡尊らの行なった蒙古襲来の「弘安の役」の際の呪術がそうであるように、「祈祷」は必ずしも密教だけのものではない。日本では「祈祷」は仏教伝来以後日本古来の呪法と結びつきながらしばしば行われ、聖徳太子が父用明天皇のために法隆寺を建立したこと、天武天皇が皇后鸕野皇女(後の持統天皇)のために薬師寺を建立を行ったことも「祈祷」の一環であったとされる。また、鎮護国家の思想とも結びついて「金光明経」や「仁王経」の読経が盛んに行われた。だが、「祈祷」が広く行われるようになったのは密教伝来以後の平安時代以後のことである。最澄につづいて空海の影響力が大きいが、その後の天台密教の影響力も忘れてはならない。平安時代中期には皇室から庶民に至るまで、国家の大事から日常の些事まで全て「祈祷」によって解決しようとする風潮が高まった。天皇個人のための「祈祷」を行う護持僧が、延暦寺・園城寺・東寺などの密教の大寺院の高僧から選任されたほか、国家・宮中行事として宮中で正月に開催される後七日御修法などが開かれ、この他にも天災・疫病・出産など様々な名目で各種の「祈祷」が行われた。

天台密教には「祈祷」に長けた人がいるので、この際すこしお話ししておきたい。天台密教の円仁、円珍、安念、浄蔵のことである。これらの人は、「祈祷」によって「自然呪力」を発揮したという訳ではないが、強力な「呪力」を身につけていた人たちであるので、天変地異が大きな国家問題になっていた時代であれば、おそらく「自然呪力」を発揮したものと思われる。

空海が活躍したのちに、天台密教は、円仁や円珍などの入唐求法によって、天台密教の呪術を磨いて行く。

最澄門下の俊英であった円仁(794~864年)は、44歳で入唐、約10年間滞在して密教を学んだ。空海の真言密教に対抗すべく、天台密教の大成に腐心したが、その最大の成果は、空海が唐で密教を学んだ青龍寺(しょうりゅうじ)で、当時の高僧・義真(ぎしん)から「蘇悉地法(そしつじほう)」を伝授されたことである。台蜜(たいみつ)では、「蘇悉地法(そしつじほう)」がきわめて重要とされているが、それは円仁が金胎両部(こんたいりょうぶ)を統合するものとして、この「蘇悉地法(そしつじほう)」を位置づけたためである。

円仁とならび称される台蜜の巨頭・円珍(814~891年)は、37歳のとき、しばしば夢に比叡山の鎮守神である山王明神が現れ、入唐求法を強く勧められ、その旨を文徳天皇に上表したところ、入唐を勅許された。入唐後、開元寺で梵字などを習得した後、天台山の諸寺を巡礼、さらに青龍寺(しょうりゅうじ)で、当時の中国密教の第一人者・法全(はっせん)から金胎両部(こんたいりょうぶ)と阿闍梨位(あじゃりい)の灌頂(かんじょう)を受け、真言密教を詳しく伝授された。特に、法全(はっせん)は、「金剛頂経(こんごうちょうじょうきょう)」に基づく曼荼羅・五部心観(ごぶしんかん)を、円珍に授けた。その後、円珍は、大興禅寺(たいこうぜんじ)で、インド僧の大学者・知恵輪三蔵(ちえりんさんぞう)からも密教の奥義を伝授された。在唐6年を経て、円珍は約1000巻もの経典を携えて帰朝した。円珍については、日本に居ながら唐の青龍寺(しょうりゅうじ)の火災を霊視、比叡山から香水(こうずい)をまいて加持すると、さしもの火災も鎮火したという話など、円珍の法力を示す話が数多く伝えられている。
さらに、比叡山には、安然(あんねん)という比類なき大学匠がでて、天台宗の密教化は完成の域に達していく。安念は、空海の即身成仏義を深く勉強して、当時としては、空海の弟子と言えども安念にかなう者はいなかったようだ。当時、安念は密教の第一人者であったのである。したがって、天台宗の密教は、安念のお陰で,完成の域に達したと考えられている。

もう一つ、「天台密教の呪術」何と言っても「浄蔵」である。天台密教の僧侶・浄蔵は偉大な人物であり、平安時代中期の朝廷にとってなくてはならな い人であった。特に将門の乱のとき天皇を中心とする朝廷は歴史上最大に危機に陥るのだが、それを救ったのが「浄蔵の呪術」である。「浄蔵」については、是非、次をご覧頂きたい。

http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/jyouzou.pdf





« 山地拠点都市構想(その97) | トップページ | 近代国家の責任(その2) »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1117507/61667687

この記事へのトラックバック一覧です: 宇宙のリズム(その9):

« 山地拠点都市構想(その97) | トップページ | 近代国家の責任(その2) »