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2014年8月14日 (木)

霊魂の哲学と科学(その30)

霊魂の哲学と科学(その30)
第5章 霊魂の哲学について(23)
第7節 活動存在としてのさまざまな神(3)

2、アポロンとディオニソス(2)

プラトン哲学の核心部分は何か? それは「ディオニュソス」である。プラトンもニー
チェもディオニュソス的なものに強いあこがれを持っていたのであって、これに厳しく対峙するものがソクラテス主義である。ソクラテス主義とは、理性と道徳によって生を抑圧するもの以外の何ものでもなく、ディオニュソス的狂乱こそ、音楽と踊りの熱狂の中で、人びとが世界の根源に触れ生をイキイキと生きる根源である。
 プラトンは、エロスの神について形而上学的思考を重ねた哲学者で有名であるが、彼は、知識の源としての「バクティ」と官能的な「マニア」とを区別した。「バクティ」とは、サンスクリット語で、「献身」「信愛」「信仰」「神への愛」「帰依」を意味する言葉であり、「マニア」とは、マニアの語源はギリシャ語で「狂気」のことであり、自身の趣味の対象において、周囲の目をも気にしないようなところもある事から、「~狂(きょう)」と訳され、ほぼ同義のものとされている。
 さらに、 プラトンは、 官能的な「マニア」を、酩酊と陶酔のダンスを伴う「マニア」と性愛に結びつくエロチックな「マニア」に分けて考えた。前者の 酩酊と陶酔のダンスを伴う「マニア」は、ディオニュソスとより直接的なつながりを持つと見なした。
 プラトンもニーチェもディオニュソス的なものに強いあこがれを持っていたということは、ヨーロッパにありながら、アジア的なものを理解する感性を持っていたということであり、そのような哲学者は歴史上二人以外に見当たらない。二人はまさに超人的な大哲学者であるが、実は、二人が知り得たディオニュソスの神は、もっともヨーロッパ的な神・アポロンの影響を受けてかなり変身していたのだ。もともとディオニュソスは、アジアの影響によって誕生したのであり、「ディオニュソス」を深く理解するためには、その源流をさかのぼって「シヴァ」を知らねばならない。幸い、「シヴァとディオニュソス・・・自然とエロスの宗教」(著者・アラン・ダニエル、訳者・浅野卓也と小野智司、2008年5月、講談社)という格好の本があるので、私たちは今、「ディオニュソス」の源流を知ることができる。 シヴァとディオニュソスは、厳密にいうと、少し異なる部分がある。 酩酊と陶酔のダンスを伴う「マニア」に関してはまったく同じ。しかし、 性愛に結びつくエロチックな「マニア」については、シヴァは元型そのまま、ディオニュソスはアポロン
の影響を受けてかなりマイルドになっている。そのようにお考えいただきたい。
 ちなみにニーチェの「ツァラトゥストラ」はゾロアスターのドイツ語であり、ゾロアスターもシヴァの変身したものである。世界最古の神はシヴァ神である。これはまた世界最強の神ともいわれている。

 私の電子書籍「エロスを語ろう!」(未定稿)の第2章第1節で述べているように、ともにアフリカを出発し、西に進路をとる「ヨーロッパ人」と東の「アジア人」が別れたのは、「アッシリア地方」においてであり、遺伝学の分析によると今から六万年前のことである。その後アッシリア地方を中心として、ヨーロッパではオーリニャック文化を初めとし、バルカン半島やアッシリア地方もそれに準ずる文化的発展をする。そして遂には、
アッシリアがメソポタミアと古代エジプトを含む世界帝国を築くことになる。紀元前10世紀末のことである。交通という観点から言えば、これらの動きはすべて地中海の海上交通の重要性を高めることに繋がるものであり、クレタ文明の勃興に引き続いてフェニキア人の活躍を経て、ギリシャの交易都市・ポリスが世界的にも珍しい華やかな発展をすることになるのである。ギリシャという都市国家の発達は、人類大移動に際して大きな役割を果たした「アッシリア地方」の存在があってはじめてなし得た歴史的必然であったと思う。つまり、都市国家ギリシャは、時代とともにヨーロッパの色が強くなっていくが、もともとはアジアの影響が濃厚だったのである。このことを人類学的に十分理解しておかないと、ディオニソスとシヴァ神との繋がりを理解することは難しい。

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