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2014年7月18日 (金)

霊魂の哲学と科学(その4)

霊魂の哲学と科学(その4)

第1章 妖怪論

となりのトトロ もののけ姫 千と千尋の神隠し ドラえもん ポケットモンスター ドラゴンボール ゲゲゲの鬼太郎などについて、小松和彦は、アニメーションなどにふんだんに登場する妖怪たちと言うが、これらは妖怪なのだろうか? 私は、そうだとしても、本来の妖怪ではなく、 「芸術的妖怪 」とでも呼ぶべき進化した妖怪であると思う。この進化した妖怪まで含めて妖怪とは何か? その定義を考えねばならない。

路傍に捨てられた小道具たちは使用者から何の感謝の念も表されずに捨てられたことを怒り、団結して人間に復習することを思い立つ。百鬼夜行絵巻とか鳥山石燕「画図百鬼夜行」はそういうものである。こうなってくるともはや妖怪は怪異現象とは関係なく、人間の想像する「怪しげなもの」となってくる。 これを何と呼べば良いのか? ここでは一応絵画化された妖怪という意味で「絵画的妖怪」と呼んでおこう。
江戸時代から明治時代にかけて、「百物語」と呼ばれる参加者が順々に怪談を語って楽しむ会が盛んに行われ、それに刺激されて「百物語」と題した怪談集がたくさん刊行さていた。森鴎外の「百物語」というのはそういう短編小説である。
私は幽霊も含めて怪談に出てくる怖さや怪しさを感じさせる観念上の妖怪存在を「文学的妖怪」と呼びたいと思う。
幕末期、十返一九、北斎、国芳、芳年、暁斎などの浮世絵師が文学作品や芝居などさまざまなところから素材を得た、優れた妖怪画を描いた。そしてこの妖怪の造形化・キャラクター化は、妖怪がさまざまの領域に進出する道を開いた。妖怪たちは、玩具や遊技の領域に、さらには着物や屏風、根付けや印籠のデザインなどといった日常用品の領域にまで進出していったのであった。
日々愛用される日常用品に登場する妖怪は「芸術的妖怪」と呼ぶにふさわしい。この日常の愛用品に登場する妖怪をデザイン的妖怪と呼び、先の「絵画的妖怪」と上記の「文学的妖怪」に「デザイン的妖怪」を含めて、私は「芸術的妖怪」と総称することとしたい。 これに対して怪異現象に対して名付けられた妖怪を「民話的妖怪」と呼ぶことにしよう。「芸術的妖怪」は画家や作家やデザイナーなどの芸術家が創作するものであるのに対し、「民話的妖怪」は一般大衆により語られてきた民話である。

妖怪は神の対極にあるものである。神は、祭られる存在すなわち「祈り」を捧げられる存在である。御霊信仰が指し示すように、それが祀られることによって、怨霊変じて神となる。同じように、妖怪変じて神となる可能性はある。いわば、妖怪は神の予備軍である。すでに、鬼や天狗といった妖怪は多くの神社やお寺で祀られて、人びとの「祈り」の対象になっている。
宮田登は、「妖怪文化論」とかいった形で「妖怪」を全面に掲げた研究を行い、特に都市における怪異と妖怪伝承の研究に力を注いだ。私はこのような宮田登が民俗学の対象として意欲的に取り組んだ「都市空間に出現する妖怪」を「都市的妖怪」と呼ぶこととする。都市的妖怪は反自然的妖怪でもある。

民話的妖怪、芸術的妖怪、都市的妖怪のほか、実は、「ルサンチマン的妖怪」というのがある。これは私が命名している妖怪であるが、「怨霊」のことである。

「天狗は神的性格と悪魔的性格の両面をもっている」と思う。だから、天狗は神でもないし、怨霊でもない。また逆に、神にもなり得るし、怨霊にもなり得る。私はこのような存在は「妖怪」の範疇には入らないと思う。天狗は天狗なのだ。妖怪ではない。それが私の考えだ。

鬼は人間的な匂いがフンプンである。極めて人間的だという点で、天狗と同様、鬼は妖怪の領域をはみ出している。したがって、鬼は妖怪ではなく、鬼として独立させて考えることとしたい。鬼は鬼なのである。

平和を語るには、どうしても怨霊とか鬼或いは妖怪について語らなければならない。広島は国際平和文化都市である。これからの広島の有り様を考えるには平和を語らなければならないが、そのためには、どうしても怨霊とか鬼或いは妖怪について語らなければならないのだ。小松和彦さんがその著書「憑霊(ひょ うれい)信仰論」で言っておられるように、問題は、怨霊、鬼、妖怪とは何かと 問うことではない。そうではなくて、そういった怨霊、鬼、妖怪のずっと背後に どういう真理があるのかということこそが問題の核心なのである。
問題は、怨霊、鬼、妖怪とは何か と問うことではない。そうではなくて、そういった怨霊鬼、妖怪のずっと背後に どういう真理があるのかということこそが問題の核心なのである。私は、問題の核心を探し求めるための旅を続けたいと思う!

以上は、第1章の要点のみピックアップしたものだが、第1章全体を次ぎに紹介しておくので、是非、私の妖怪論をじっくり読んでいただきたい。
http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/rei01.pdf

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