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2014年7月14日 (月)

医心方(その24)

医心方(その24)

第1章 中国伝来文化と医心方

おわりに(4)

日本書紀と古事記は画期的な本であるが、それらはどのような目的のために書かれたのか?  それを語る場所としては、日本広ろしと言えども甘樫坐神社(あまかしますじんじゃ)という場所しかない。甘樫坐神社(あまかしますじんじゃ)は、まさに「場所の論理」でいうところの「論点や議論の隠された所としての場所(トポス)」なのである。その甘樫坐神社(あまかしますじんじゃ)を勉強して、まさか「医心方」が関連してくるとは思いもよらなかったが、そのそも明日香のことを書きたいと思った動機は「医心方」であるので、私としては意を強くしているところである。「医心方」(原書)は奇跡の書であると痛切に感じる。そういうことで、最後に「医心方」のことを書いてこの小論文を終わりたい。

「医心方」には、猪膏(ぴんいん)の用途が多数記載されている。なかでも盟神探湯(くがたち)との関連で興味をそそられるのは、火傷の薬としての用途である。「医心方」に見える猪膏(ぴんいん)を用いた火傷の治療法を槙佐知子の訳に従って列挙すると、次の通りである。

火傷がすでにできものになった患者の治療法(「葛氏方」)・・・猪膏(ぴんいん)と米の粉を練り合わせ、一日に五、六回、塗ること。

湯火による火傷が爛れた場合の治療法(「極要方」)・・・猪膏(ぴんいん)で柳白皮を煎じて患部に塗ること。

火による火傷の治療法(「千金法」)・・・丹参(たんじん)を多少にかかわらず羊の脂で煎じて患部に塗ると、あらたかな効き目がある。羊の脂がない場合には猪膏(ぴんいん)を用いよ。死んだ鼠一匹を猪膏(ぴんいん)で煎じて、すっかり溶けてしまってから患部に塗ると治り、あとが全く残らない。

火による火傷で爛れた瘡(かさ)を治して、そのあとに毛髪を生やし伸ばす処方(「耆婆方」)・・・柏樹白皮を用意して粉末にし、猪脂に混ぜて塗布すると良い。また、それを煎じて、その煮汁で患部を洗うこと。

火による火傷の瘡や灸による治療法(「蒯繁方」)・・・柏樹白皮五両、甘草一両、竹葉三両、生地黄五両。四種類のすべてを綿に包み、苦酒(す)五合にひたして一晩漬けておく。これを猪膏(ぴんいん)一升で煎じて竹の葉が黄ばんだら火からおろし、滓を除いて患部に塗り付けること。

以上である。「医心方」は面白い!

なお、以上24回にわたって発信して来たものは、私の小論文「中国伝来の医療・・医心方とその周辺」の中からどうしても知っておいてもらいたい部分を抜き書きしたものである。私の小論文「中国伝来の医療・・医心方とその周辺」の全体は次の通りである。目次もあるし、何よりも索引を付けたのでじっくり読む場合に便利なものになっている。
http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/isinpou.pdf

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