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2014年6月22日 (日)

医心方(その3)

医心方(その3)

第1章 中国伝来文化と医心方

第1節 漂着した外来文化(1)

文化とは、人間が生きていく上で必要な教養の総体である。その文化の形成過程において技術、宗教、政治、芸術の専門的な活動というもが当然あるしまた必要であるが、最終的には多くの人びとの共通感覚として日常生活に生かされなければならない。したがって、私は、文化のうち生活文化に特に重大な関心を持って中国伝来文化を見ていきたいと考えている。
文化というものは、それぞれの時代で然るべき変形を受けてはいるが、前の時代の影響を受けている。したがって、現在の生活文化についても、相当古い時代の影響を受けている。

例えば、照葉樹林文化論というものがある。照葉樹林文化論とは、1970年代以降の日本の文化人類学において一定の影響力を持った学説である。具体的には、日本の生活文化の基盤をなすいくつかの要素が中国雲南省を中心とする東亜半月弧に集中しており、この一帯から長江流域・台湾を経て日本の南西部につづく照葉樹林地域に共通する文化の要素は共通の起源地から伝播したものではないかという仮説である。照葉樹林は日本南西部から台湾、華南、ブータン、ヒマラヤに広がる植生である。佐々木高明は、西日本の照葉樹林文化に対応させるかたちで東日本にナラ林文化という概念を設定し、中国東北部や朝鮮半島に広がるモンゴリナラやブナ林の分布する地域にみられる文化要素との関連も示唆している。
具体的には、根栽類の水さらし利用、絹、焼畑農業、陸稲の栽培、モチ食、麹酒、納豆など発酵食品の利用、鵜飼い、漆器製作、歌垣、お歯黒、入れ墨、家屋の構造、服飾などが照葉樹林文化圏の特徴として挙げられる。照葉樹林文化論を肉付けする形で稲作文化や畑作文化なども考証されている。

しかし、照葉樹林文化は、日本列島に影響を及ぼした様々な文化圏のうちの一つに過ぎないのであって、旧石器時代には、北方から黒曜石文化が日本に入ってきているし、南方から黒潮文化が日本に入ってきている。


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