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2014年4月22日 (火)

正義の偽装(その52補足説明第3号)

正義の偽装(その52補足説明第3号)

私は前に「景観哲学」を書いたことがある。その「はじめに」という文章の中で、次のよ
うに書いた。すなわち、 『「景 観10年、風景100年、風土1000年」という人が多くなって、この言葉は けっこう有名になっているかと思うが、もともとは風土工学の先駆者・佐々木綱 が言い 始めた言葉である。誠に言い得て妙な言葉だと思うが、ちょっと歴史的認識が足りないよ うに思う。鶴見和子がいうように、歴史が進化や段階を経ると見 るのではなく、古いも のの上に新しいものが積み重なっていくと見る視点(「つららモデル」)は誠に大事であって、歴史的に日本の風景を語る場合、万年前の 風景まで遡る必要があるのではない か。かかる観点から「何とか万年という場合、何といえばいいか?」、その点を中沢新一 にちらっと聞いたことがある。その 時、中沢新一は即座に「精霊(スピリット)」と 言った。彼はそれほど深く考えずに直感的に言ったのだけれど、私は、これこそ言い得て 妙な言い方だと思う。 「 景観10年、風景100年、風土1000年 、精霊万 年」・・・。いいですね。風景には、「現実の風景」と「風土に根ざした風景」と「精霊 に根ざした風景」があるというのが私の考えだ。盆栽や箱庭な どの縮景や見立ては、実 際に見えるものの奥に、それよりさらに意味のあるものを感じ取ろうとするものである。 「現実の風景」から「風土に根ざした風景」を 感じ取る。これは文化の問題であるが、 さらに「現実の風景」から「精霊に根ざした風景」というか「古層の神」を感じ取ること ができれば、ハイデガーのいう 「投企」が始まるかもしれない。もしそうなれば、そこ から新たに自分を捉えなおし、新たな生き方を始めることができる。』・・・と。
http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/keikan00.html

それでは、中沢新一の著書(今回は「カイエソバージュ4・・・神の発明」、2003年
6月、講談社)から「スピリット」について、ここでの文脈に関連する部分のみを紹介し
ておきたい。
中沢新一は言う。すなわち、 『 「多様性の森としてのスピリット」   スピリットの最大の特徴はと言いますと、その種類の多さということにつきるでしょう。なにしろ多種多様で、数が多いばかりではなく、種類もべらぼうにたく さんなので す。このことは、日本語の世界で「おばけ」とか「妖怪」とか言われているものの多様さ を考えてみれば、よくわかるでしょう。江戸時代の人はユー モアたっぷりに、そういう スピリットの世界の「博物学」をつくって楽しんだりしていました。「百鬼夜行」という ことばが示すように、つぎからつぎへと涌 (わ)いてくるのがスピリットの特徴です。
こういう特徴は、どうも世界中で一般的なようです。オーストラリアの砂漠に住む人た ちも、アマゾン河流域のジャングルに住む人たちも、極北の氷原にアザラシを追っている 人たちも、多種多様なスピリットの存在をよく知っていました。   キリスト教によって、聖霊という特別な連中を残して、あとはスピリットなどすっかり 駆逐されてしまったと思われているヨーロッパでさえも、じつはスピリッ トは死に絶えて などいません。イングランドのストーンサークル遺跡の近くにでかけてみれば、いまだっ てさまざまなスピリットの活躍の様子を語り続けている 人たちに出会いますし、北欧の 「トロール」と呼ばれるスピリットの生活は童話や絵本になって子供たちに愛好されてい ます。
スピリットの存在は、人類に普遍的なのです。』・・・と。
http://www.kuniomi.gr.jp/togen/iwai/kami02.html

すなわち、「スピリット」は、世界の隅々に棲んでいる「多様性の森」なのである。そ の「スピリット」の働きのお陰で私たちは「風土」としての特性「歴史のお もむき」と 「自然のおもむき」を感じることができるのである。どこの「スピリット」が善くてどこ の「スピリット」が悪いということはない。ここにジョン・グレイの「価値多元主義」の哲学的根拠がある。

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