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2014年3月19日 (水)

天神信仰(7)

天神信仰について(7)

4、天神信仰の本質について

空海の場合は最澄のような桓武天皇との特別な関係があったわけではないので、北野天満宮創建時の祭祀もそうであったが、平将門の乱の時も平将門の生霊(いきりょう)調伏の主役は、天台密教が担った。それが「平将門の挫折」の基本的要因となった。もちろん、真言密教が怨霊調伏の呪力に劣っていたというわけではない。一般社会における御霊信仰は、空海の怨霊調伏が発端になって普及した。現代の怨霊調伏は、靖国神社においてなされなければならず、これは、私の歴史認識からすれば、天台密教が中心となって、真言密教も協力してあらゆる宗教団体が参画してなされなければならないように思われる。国民の安寧と国際平和を祈るためであり、あわせて天皇の弥栄を祈って欲しい。

天台密教と天皇との関係は歴史的に見てなみなみならぬものがある。

京都御所には「土足参内」という習わしがある。「土足参内」とは、回峰行の創始者・相応和尚(最澄の孫弟子)以来、千年の格式と伝統を誇る習わしである。由来は、文徳天皇 の女御藤原の多賀幾子が物の怪に悩まされた 時、京都市中の高僧たちの呪法も一向に効き目なく、師匠円仁のすすめにより、12年篭山中の相応和尚が草鞋履の行者姿で参内し加持したところ、女御の病 気は直ちに平癒したと言われている。千日回峰行を満行した行者のみ許されるもので、京都御所内小御所に土足のまま参内し、国家安穏と玉体安穏 を加持奉修する。「土足参内」は現在も行われている。

また、比叡山と深い関係にある「八瀬童子」というのは、歴史的に見て天皇となみなみならぬ関係があった。
現在、天皇は靖国神社に参拝されていない。きっと心配されながら、いずれ状況が整えば、安心して靖国参拝をしたいとお考えになっているに違いない。そういう状況を整えるのは政治家の責任だが、私たち国民もそのことに無関心でいていい筈がない。私は、天神信仰の本質を深く考えることによって、靖国問題解決の糸口も見えてくるのではないかと考えている。
天神信仰の本質は怨霊信仰にある。だとすれば、菅原道真の怨霊を鎮めたのは増命(ぞうみょう)や尊意(そんい)や浄蔵を中心とした天台密教であるから、天神信仰の生みの親は天台密教ということになる。天台密教は北野天満宮の祭祀を当初に取り仕切ったのであり、北野天満宮は菅原道真の怨霊と深く関わっている。北野天満宮はただ単に菅原道真の御霊を祀った神社というだけのものではけっしてない。太宰府天満宮は、菅原道真の御霊(みたま)を祀ったという点では由緒正しい神社であり、その格式は極めて高いものがあるけれど、菅原道真の怨霊と深く結びついている訳ではない。私は、神社には大きく分けて二つの性格の神社があると考えている。不幸な死に方、理不尽な死に方をした人の怨霊を祀る神社と怨霊とおおよそ関係なくただひたすらその神威を頼って祈りを捧げる神社の二系統である。北野天満宮は前者であり、太宰府天満宮は後者である。

そこで、この際、そのことに関連して一言申し上げておきたいのだが、先ほども触れたが、私が重大な関心を持っている問題に靖国神社の問題がある。靖国神社は明らかに前者に属し、北野天満宮と同じ性格の神社である。したがって、靖国神社の祭祀については、現在、天台密教にそれだけの力があるかどうか判らないが、かって増命(ぞうみょう)や尊意(そんい)や浄蔵らが行った天台密教の怨霊鎮めの儀式には、関係者の深い関心を寄せて欲しい。靖国神社の祭祀というものは、靖国神社の宮司に任せておいていいというような問題ではけっしてない。では、靖国神社の祭祀は、誰が中心となって行えば良いのか? この問題は大変難しい問題であるので、ここでは御霊信仰に関する深い歴史的考察が必要で、そう簡単に答え得る問題ではない。したがって、ここでは増命(ぞうみょう)や尊意(そんい)や浄蔵らの行った天台密教の怨霊鎮めの儀式の歴史的意義の重要性だけを指摘するにとどめておく。ただ一言、現在の私の考えを申し上げておくと、私は、靖国神社の怨霊鎮めは、やはり天皇を中心として、天台密教のみならず、あらゆる宗教がこれに立ち向かうべきではなかろうかと考えているが、このことについては、御霊信仰に関する私なりの歴史的考察を行った上で、機会を改めて説明させていただきたいと思う。

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