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2014年3月31日 (月)

正義の偽装(その32足利義満の暴挙1)

正義の偽装(その32足利義満の暴挙1)

第2章 天皇
第2節 私の天皇論
3、天皇の聖性と政治的権力

(1) 足利義満の暴挙(1)・・・天皇の聖性を蔑ろにした結果の不幸

私は、天皇にとって歴史上最大の危機は、「平将門の乱」の時であると考えている。この時は、既に書いたように、浄蔵ら天台密教僧の呪力によって事なきを得た。日本の長い歴史の中で、政治的権力が完全に武士に握られた武士の時代にあっても、天皇の聖性は武士によってもおかされる事なく、天皇の聖性と政治的権力ははっきり分離されてきた。ただ一つ例外があるとすれば、足利義満の場合である。しかし、一見天皇制に危機があったと見えるだけで、私は、 足利義満の場合であっても、天皇制そのものが危機にさらされたとは考えていない。確かに 足利義満は恐れ多くも天皇の地位を簒奪しようとするが、所詮足利義満の行為は私利私欲によるものであり、彼に天命の下る筈もない。足利義満の行為は天皇の聖性を蔑ろにした暴挙というほかない。仮に、足利義満が天皇の地位の簒奪に成功していたとしても、それは一時的なことで、公家や地方豪族の支持も得られず、結局は、天皇制は続いたであろうと私は考えている。それほど天皇の聖性というものは歴史的に確立されているのである。

それでは足利義満とは何者かというところから、足利義満の暴挙に関するこの話を始めよう。

1367年11月に足利義満の父・義詮が重病となる。義詮は死期を悟り、義満に政務を委譲し、細川頼之を管領として義満の後見・教導を託した。朝廷は12月3日に義満を正五位下・左馬頭に叙任した。12月7日に義詮は死去し、義満が第3代将軍として足利将軍家を継いだのだある。足利義満は、南朝最大の勢力圏であった九州に今川貞世(了俊)と大内義弘を派遣して、南朝勢力を弱体化させ幕府権力を固めたいった。さらに京都の支配を強化するために、1370年に朝廷より山門公人(延暦寺及びその支配下の諸勢力及びその構成員)に対する取締権を与えられた。そして、1374年には日野業子を室に迎えた。邸宅を三条坊門より北小路室町に移し、幕府の政庁とした。移転後の幕府はのちに「花の御所」と呼ばれ、今日ではその所在地により室町幕府と呼んでいる。義満は、朝廷と幕府に二分化されていた京都市内の行政権や課税権なども幕府に一元化するとともに、守護大名の軍事力に対抗しうる将軍直属の常備軍である奉公衆を設け、さらに奉行衆と呼ばれる実務官僚の整備をはかった。1382年には開基として相国寺の建立を開始し、翌年には自らの禅の修行場として塔頭鹿苑院も創建する。1385年には東大寺・興福寺を参詣、1388年には駿河で富士山を遊覧、1389年には安芸厳島神社を参詣するなど、視察を兼ねたデモンストレーション(権力示威行為)を行っている。この頃足利義満は、康暦の政変、土岐康行の乱、明徳の乱などを巧みにのりきって、権力強化を図っている。摂関家の人々にも偏諱を与えるようになるなどその勢威はますます盛んになり、掣肘できるものは皆無に等しかった。また、これまで院や天皇の意思を伝えていた伝奏から命令を出させ、公武の一体化を推し進めた。これら異例の措置も三条公忠が「先例を超越した存在」と評したように、公家側も受け入れざるを得ず、家礼となる公家や常磐井宮満仁王のように愛妾を差し出す者も現れた。そして遂に、足利義満は南北朝合一を成し遂げるのである。

1392年には南朝勢力が全国的に衰微したため義満は大内義弘を仲介に南朝方と交渉を進め、持明院統と大覚寺統が交互に即位する事(両統迭立)や諸国の国衙領を全て大覚寺統の所有とする事などの和平案を南朝の後亀山天皇に提示し、後亀山が保持していた三種の神器を北朝の後小松天皇に接収させることに成功するのである。南北朝合一が実現し、58年にわたる朝廷の分裂を終結させたのである。これを明徳の和約という。そして、自己の権力を確固たるものにした義満は、1394年には将軍職を嫡男の足利義持に譲って隠居するのであるが、政治上の実権は握り続け、同年、太政大臣にまで昇進する。

かくして、足利義満は名実共に最高の権力者になったが、ここで天皇との関係が問題になってくる。宿願の「明との勘合貿易」を行うためである。

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