正義の偽装(その23第2章第1節5)
正義の偽装(その23)
第2章 天皇
第1節 佐伯啓思の指摘(5)
大事なのは伝統である。アメリカはアメリカなりに「歴史と伝統文化」があるし、中国は中国なりに 「歴史と伝統文化」があるし、日本は日本なりに「歴史と伝統文化」がある。その国の統治構造というものは、その国の「歴史と伝統文化」にもとづいて作られるべきものである。アメリカは、建国精神にもとづいて出来上がった「民主共和主義「が良い。中国は、その長い「歴史と伝統文化」にもとづいて出来上がった「天命政治」が良い。日本は、やはり長い「歴史と伝統文化」を持っており、その「歴史と伝統文化」にもとづいて出来上がった日本の歴史的精神をもっている。それにふさわしい統治構造は、「天皇を中心とした政治構造」である。佐伯啓思は、このような基本的考えから、天皇制の基本構造について次のように述べている。すなわち、
『 第一に、天皇の位は血統による世襲である。
第二に、天皇は人であると同時に神格を帯び、「聖性」と関わる。そこから、天皇が「神」とし
て奉られると同時に、神をまつる祭祀の長であるという独自の性格がでてくる。
第三に、天皇は形式上は政治の主宰者である。しかし自らは政治を行わず、もっぱら祭祀儀礼を
執行し、権威を担保する。その結果、日本の統治システムは、一方で天皇という聖性を帯びた
「権威」と、他方で実権を持つ政治的な「権力」が分離するとともに、その「権力」の正当性は「権威」によって付与される。』・・・と。
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