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2014年2月 6日 (木)

正義の偽装(その4「はじめに」4)

佐伯啓思の「正義の偽装」について

その4 「はじめに」4

さて、自由主義の立場に固執して「ポスト新自由主義」を構想する、それが私が「究極の自由主義」と呼ぶ・・・ジョン・グレイの「自由主義」である。もちろんこれは理想である。現実ではない。しかし,現実の政策を考える時,理想つまり今後向かうべき方向というものが定まっていないといけないので,このシリーズではその理想について勉強しようとするのである。

なお,上記著書でいう「新自由主義」と「新福祉国家」とは政治的対立軸にはならない。何となれば,自由主義は進化を続けており,やがて「新自由主義」の欠陥は克服されて,私のいう「究極の自由主義」は「新福祉国家」を飲み込んでしまうからである。

それでは、次に,今後向かうべき方向として,山田昌弘のいう「積極的幸福」を勉強することとしたい。

山田昌弘のいう「消極的幸福」は、憲法でいう「健康で文化的な生活」のことであり、国はこれを保障しなければならない。イデオロギーの問題ではない。実現の方法については,「自由主義」の立場でいくのか「非自由主義」の立場でいくのかという政治的対立軸があるとしても,目標そのものに政治的対立軸がある訳ではない。
自由主義の立場に固執して「ポスト新自由主義」を構想する、それが私が「究極の自由主義」と呼ぶ・・・ジョン・グレイの「自由主義」である。もちろんこれは理想である。現実ではない。しかし,現実の政策を考える時,理想つまり今後向かうべき方向というものが定まっていないといけないので,このシリーズではその理想について勉強しようとするのである。今後向かうべき方向は、イデオロギーとしては「究極の自由主義」であり、具体的政治目標としては「小さな政府」である。
さあ、それでは、いよいよ,今後向かうべき方向として,まずは山田昌弘のいう「積極的幸福」を勉強することにしよう。

今 までの近代社会における「積極的幸福」は物質的な豊かさを追い求めたものであったが,これから「ポスト近代社会」においては、ゼロ成長の時代に突入するこ ともあり,物質的な豊かさではなく,「新しい幸せの物語」が必要と彼は言う。そして彼は「新しい幸せの物語」として三つの物語を提唱している。つまり、
1、自分を極めるという物語(美的感覚)・・・個人の内的感覚
2、社会に貢献するという物語(社会の成員感覚)・・・個人と社会の関係
3、人間関係のなかにある物語(物語の共有感覚)・・・個人と個人の関係

さらに,それらの物語が成功する、つまり「幸福」を解く鍵として、「つながり」と「時間」という二つの軸を重視している。つながりとは身近な人や社会からの承認で あり、時間とは将来の見通しである。社会のなかで,将来にわたってそうであると確信したときに,長続きする「幸福」が得られるという訳だ。1の「自分を極 めるという物語」も、その努力というものが身近な人や社会からそれなりに認められれば、幸福感はより大きくなるであろう。

フランシス・フクヤマという私の尊敬するアメリカの哲学者がいる。そのフランシス・フクヤマが「真の自由とは世界でもっとも大切にされて いる価値観を政治の力で守る自由だ」と言っている。そこで私が思うには、世界でもっとも大切にされるべき価値観とは、地域の人々とともに風土を生きるその充実感 ではないだろうか。
私 がいう「地域の人々とともに風土を生きるその充実感」とは,必ずしも 2の「社会に貢献するという物語」だけを言っているのではなく, 1の「自分を極めるという物語」も含まれるし, 3の「人間関係のなかにある物語」も含まれる。要は,地域の人々とともに風土を生きれば良いのである。ところで、風土とは,オギュスタン・ベルクによれば 「歴史的なおもむき」や「自然的なおもむき」のことであるが、「おもむき」という言葉のなかには、当然,時間軸が入っている。したがって、山田昌弘のいう「積極的幸福」は、「地域の人々とともに風土を生きるその充実感」と言い切って良いと思う。





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