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2014年2月 4日 (火)

正義の偽装(その2「はじめに」2)

佐伯啓思の「正義の偽装」について

その2 「はじめに」2

20世 紀に入ってから、伝統的自由主義に対する修正の動きが明確になる。これが「福祉国家」とよばれる動きであり、年金、失業手当、医療保険、最低賃金等の社会 保障・福祉政策を充実させていった。他方、経済政策においてはケインズ主義に基づく国家の介入が正当化されてきた。例えばアメリカのルーズベルト(FDR)政権は、従来の「自由主義」的経済運営を修正し、ソーシャルセキュリティー制度の創設、連邦政府の大規模公共事業による景気回復を図った。
このような高福祉・政府の経済介入、いわば「大きな政府」路線は、1970年 代の為替自由化、オイルショック、それに伴う高インフレ、高失業によって修正を余儀なくされる。特に、第二次世界大戦を期に世界の覇権を失い衰退一方で あったイギリス、ベトナム戦争で疲弊した上にカーター政権の経済政策が失敗しインフレに見舞われたアメリカにおいては、福祉国家に代わって経済を回復させ る新たな政策パラダイムが求められていた。
ここで登場するのが「新自由主義」であり、具体的にはアメリカ合衆国のレーガン政権による「レーガノミクス」、イギリスのサッチャー政権による「サッチャリズム」であった。

新自由主義においては、経済への政府の介入を縮小し(所謂「小さな政府」)、規制緩和等を通じて従来政府が担っていた機能を市場に任せることが行われる。ケ インズ主義は需要を政府がコントロールする「総需要管理政策」を指向するのに対し、新自由主義においては供給サイドの活性化を目指す「サプライサイド政 策」が採られる。この場合、減税により資金を民間に回し、規制緩和や政府部門の民営化等の手段によって民間経済を活性化させる方策が指向される。

自由主義や保守主義というものも進化し ており、冷戦時代のイメージを引きずったまま或は現在の姿をもとにした「批判」というものは、将来を議論する際にはよほど気をつけないといけない。ホワイ トヘッドの「プロセス哲学」が明らかにしているように,保守とは過在,現在,将来という歴史的な繋がりつまり「プロセス」を大事にする思想であり,「改革 の連続性」を含意とする思想である。
自由主義や保守主義というものも進化している。そういう進化を前提として,私は,佐伯啓思の言い方とは反対に「自由と 民主主義をやめるな」と言いたい。 佐伯啓思が言うように,冷戦時代のイ メージをまだ引きずった形での「親米保守」というのは確かに語義矛盾であるかもしれないが、将来は「親米保守」という言葉が自由主義や民主主義の理想をイ メージする言葉になっているかもしれない。佐伯啓思の著書「自由と民主主義をもうやめる」はとても良い本だけれど,よほど注意しないと誤解を与える。 佐伯啓思と私は気持ちは同じであるが,少し違うところもある。

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