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2014年2月25日 (火)

正義の偽装(その20第2章第1節2)

正義の偽装(その20)

第2章 天皇

第1節 佐伯啓思の指摘(2)

佐伯啓司は、『 天皇・貴族は、「公」の側に位置し、武士は「私」の側にいた。「政治」は「公」のものであり、そこに「私」が入り込むべきではなかった、そしてこの「形」を守ることが社会秩序の基礎だったのです』・・・と述べているが、私は、天皇の権威というものがどういうものなのか、よくよく考えねばならない問題であると考える。
政治の公は、天皇の権威に裏打ちされてこそそのようになるのだと思う。それがなければ、得てして政治は私的なものになりかねない。日本の場合、政治権力の横暴を抑制するのは天皇の権威である。

次に私の言いたいことは、形式というものの持つ働きである。形式というものは、ただ単に形式の習得にとどまらず、その形式が意図するところのものが、自然に身についたり、自然に理解できるようになるものだが、それが儀式的な場合は、その儀式が意図するところのものが、関係者の心にそれなりに響くものである。その人の心次第によっては、その人の意志を変えるかもしれない。天皇に限らず、権威が行う儀式というものは、人々の心に大きな作用を及ぼし、公のために尽くす精神を生じせしめる。
天皇の行われる行事はさまざまだが、人々の心に大きな作用を及ぼし、公のために尽くす精神を生じせしめているのだと思う。天皇の行われる行事や儀式のいくつかを体験し、私はそのことを強く思う次第である。

再度申しああげる。佐伯啓司の言うとおり、天皇は、日本の「歴史と伝統文化」の象徴であり、天皇の正当性は歴史そのものの中にある。このことを憲法に明記しなければならないのだ。天皇が行うさまざまな行事の形式が生きている。天皇と国民とのコミュニケーションをもっと増やすべきであろう。

佐伯啓思は「正義の偽装」の中で天皇に関連してさらに次のように述べている。すなわち、

『 日本の「統治機構」は、南北朝時代を除き、皇室と貴族という宮廷と、武士による幕府は基本的に分離され、幕府をひらく武士は、夷狄(いてき)をうち、社会秩序を維持する「武士」の独占者になる。しかし、それを任命するのは、あくまで天皇なのです。ここに日本の「統治機構」の大きな特徴があります。天皇という「権威」と政府という「権力」の分離であり、天皇の「権威」によって支配者(政府)の「権力」が正当化されるという構造です。こうして「私的」なものである「武」は「公的」なものに転化するのです。』

『 天皇が祭祀者であるために宗教的な次元(超世俗的な次元)に関わるからであり、しかもそのことが「世襲」によって継承されるからに他なりません。この「祭祀性」と「世襲性」が天皇に独自の権威を与えたのです。

『 世俗の政治秩序は「私的」な力の争いによって成り立っている。ようするに、無限の「自我」や「我欲」によってたえず動揺しているのです。しかし真の社会秩序は、こんな頼りないものではなく、もっと変わりなく安定し永続する原理によって担保されていなけらばならない。そこに世俗の時々の状況を超えた権威が必要であり、それは世俗を超越した次元からくるとするほかない。そこで、「神」がでてき、「先祖」がでてくる。「祭祀」が必要となり、「司祭」が生み出されるのです。さもなければ、「我欲」と「エゴ」の私的な確執はとどまるところをしらず、政治の動揺はそのまま社会の動揺になってしまうからです。どこかで、この「私的事情」という「エゴ」を抑えなければならない。それが、天皇という権威であった。ひとたび政治の舞台へあがるや、いかなる権力者も天皇の「臣下」となることではじめて「エゴ」を抑えなければならなくなるのです。こうして「私」から切り離された「公」が成立した。福沢諭吉も「帝質論」で述べていますが、この世襲的な皇室制度による権威と世俗的な政治制度の分離こそが日本の統治の大きな特徴だった。権威と権力を分離させることで、支配者(為政者)は替わっても社会秩序の根本は変化せずに継続されるのです。』

岩井國臣のコメント:以上の天皇の「権威」の持つ意義は今も変わっていない。

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