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2014年1月11日 (土)

四天王寺(その2四天王寺の本質)

知られざる四天王寺

その2 四天王寺の本質

中沢新一の「大阪アースダイバー」は、四天王寺の本質について次のように述べている。すなわち、

『 「聖徳太子」は、世界が強者だけで支配されてはならないと考える。世界は、合理的な思考と大地の豊かさが、ひとつに結びついた「和」のなかにあるとき、はじめて潜在的な力を開花させる。秩序が作られねばならないとき、戦いを通じて敗者となる者たちが出てくる。そうした敗者や弱者を排除しないで、自分の中に組み入れる度量をもった政治を行うこと。そういう世界を作り出すことが、「聖徳太子」という名前を使って表現された、日本人が目指していた政治の理想なのだった。』

『 アースダイバー的な言い方をするならば、アポロンの軸とディオニュソスの軸とが、垂直に交わり合っているところに生み出される、「和」の仕組みである。アポロンの軸は、国や秩序を立ち上がらせる力をあらわす。強者や勝者は、この軸にそって、ものを考え、行動する。ディオニュソスの軸は、傷つきやすい生命の過程に結びついている。それは、生ばかりでなく、死や腐敗を含んだ、円環でできている。この軸のまわりに息づいているものは、強者によって支配され、資源として収奪されやすいが、人間の優しさはそこから生まれる。』

『 人間は自然から生まれながらも、ほかの生き物と違って、自然から自分を切り離そうとする生き方を、選んできた。しかし、どこまでいっても人間は生き物なのであるから、自然の一部である本質を否定することはできない。』

『 深夜の四天王寺の境内を歩くとき、そくそくとしてわき上がってくる、不思議な感動がある。誰しもが感じるその感覚は、実はこの寺に今も息づいている「聖徳太子」と俊徳丸の思想に関係している。』

『 アポロン軸とディオニュソス軸の交わる聖地、四天王寺の境内で、私たちは今でも、このような大阪スピリットの古層が、この世に露頭しているその現場に、立ち会うことができる。』・・・と。



なお、四天王寺については、谷川健一の「四天王寺の鷹」(2006年5月、河出書房)という本がある。谷川健一は、この本で、「聖徳太子が起請した四天王寺に、なぜ物部守屋が祀られているのか」という問題意識のもと、四天王寺に秘められた物部氏と秦氏の謎を綿密なフィール ド調査と鋭い分析を駆使して追求している。その内容は、谷川民俗学の集大成とも言うべ き彼でしかなし得ない内容のものであって、そのことに驚きを感ぜざるを得ないのだが、この本は哲学書ではないので、人間の本質を考えながら、社会のあり方についてもその本質を指し示すものではない。やはり、知られざる四天王寺を奥深く知るには、谷川健一の「四天王寺の鷹」を読むと同時に、中沢新一の「大阪アースダイバー」を読まなければならない。中沢新一の「大阪アースダイバー」は、四天王寺の本質について以上のように述べている、それがすばらしい。



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