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2014年1月31日 (金)

四天王寺(その22俊徳丸の思想2)

知られざる四天王寺

その22 俊徳丸の思想 2

まず、折口信夫の小説「身毒丸」の大事な部分を振り返っておこう。

小説では、   

『 身毒丸の父・住吉法師は田楽を行なう旅芸人の長でしたが、身毒丸が9歳の時に突然行方不明になってしまいます。身毒丸の記憶ではこの時の父は50歳を越えていましたが、身体に気味の悪いむくみが出ていました。それを見た身毒丸に父は「お前にはまだ分かるまいがね・・」と言って次のような話をしました。父とお前の身には先祖から持ち伝えた病気がある。そのため自分は得度して浄い生活をしようと思ったのだが、ある女のために墜ちて田楽法師の仲間に投じてしまった、と言うのです。身毒丸は、だから父はお前も法師になって浄い生活を送れというのか、身体を浄く保つことで血縁の間に執念深く根を張ったこの病いを一代限りで絶やせというのか、その時の父の言葉を思い出しては考えます。』    

『 小説には身毒丸に血縁を通じて引き継がれたものが何であったかという具体的なことは最後まで出てきません。身毒丸はその理由が何も分からないのですが、しかし、確かなことはその理由が父から子である身毒丸に伝わっているということです。ということは身毒丸も共同体に入ることが許されないということです。身毒丸が放浪の旅に終止符を打って・どこかに落ち着くことはできないのです。このことは最初から決まっているのです。なぜならばその理由が父から子に伝わっているからです。』    

『 良かれ悪しかれ父から子へ何かが引き継がれる・それは拒否することはできないのです。』    

・・・と書かれているが、俊徳丸は、誰でもそうであるが、父親の難病も含めてすべてを受け継いでいる。それが俊徳丸の宿命である。しかし、父親は、俊徳丸が清浄なる人生を送れば、その忌まわしい難病に関する遺伝子を変えることができ、子孫はもはやその忌まわしい難病に苦しむことはなくなるだろう、示唆する。そこに俊徳丸の希望がある。   



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