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2014年1月15日 (水)

四天王寺(その6アニメ)

知られざる四天王寺

その6 アニメ「妖霊星」と「丑の刻参り」

上述したように、俊徳丸については、説経節「しんとく丸」を題材にして創作された一般大衆向けのアニメ、近藤ようこの「妖霊星・・身毒丸の物語」(2004年9月、青林工芸社)がある。この本は、先の述べた説経節「しんとく丸」を基に創作されたものである。

このアニメでは、田楽師の身毒丸が、彼と生き写しの娘・乙姫に懸想され、彼女が清水寺で行う「丑の刻参り」によって失明・落魄するが、その後乙姫の祈念によって救われ、彼女の子供として生まれ変わる。またこの作品では救いの祈願をかける仏も、身毒丸がその申し子であるところの清水観音になっている。私が、このアニメの核心部分と考えるのは、「呪い」の舞台も「祈り」の舞台も清水寺になっているところだ。清水寺は魔界であると同時に聖地である。そういうところはほかにもないではないが、古来、清水寺がもっとも有名であったらしい。だから、近藤ようこの「妖霊星・・身毒丸の物語」では、その中心的な舞台が清水寺になっていて、宗教的な物語になっている。説経節が下敷きになっているので、宗教的な物語になっているのは当然といえば当然のことである。しかし、折口信夫の「身毒丸」は、俊徳丸伝説から仏教的・教義的な要素を取り払い、近世芸能の原始的なかたちを再現することを意図して書かれた小説である。したがって、「丑の刻参り」なんてものも出てこない。それに比較して、近藤ようこの「妖霊星・・身毒丸の物語」は宗教的な物語であるので、「丑の刻参り」が出てくる。

そこで、この際、このアニメの下敷きになった説経節「しんとく丸」で行われたという清水寺の「丑の刻参り」について、小松和彦の注目するところを紹介しておきたい。小松和彦が注目するのは、「しんとく丸」の継母(ままはは)が最初に呪いの釘を打ち込むのが清水寺であるということだ。小松和彦は、説教節「しんとく丸」のその場面を小松和彦は、次のように紹介している。すなわち、『 清水坂の鍛冶屋に宿を取った継母は、沢山の六寸釘を作らせ、その釘を観音の前に立つ木に、縁日にちなんで18本も打ち込んでしんとく丸を呪ったのである。』・・・と。

清水寺の谷筋は、縄文時代からの死者埋葬の地であり、縄文人の祈りがあったのである。ところで、時代が進んで、強者と弱者が出て来ると、堪え難いひどい仕打ちを受ける人も出て来る。そういう人の願いは相手がいなくなることであり、「呪い」という「祈り」とはまったく逆の信仰形態も発生して来る。清水寺の谷筋では、「祈り」の他にさかんに「呪い」も行なわれたようだ。その名残が清水寺の地主神社に残されている。清水寺の地主神社に残された「丑の刻参り」については、次のホームページを、是非、ご覧いただきたい。

http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/jishujin.pdf





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