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2013年11月23日 (土)

明日香の道教遺跡(その9須弥山を中心とした宇宙観)

明日香の道教遺跡
その9 須弥山を中心とした宇宙観
今ここでの文脈から言えば、道教において、須弥山を中心とした宇宙観がどのように認識されていたか、そのことが問題である。
先に述べたように、「日本の道教遺跡を歩く」(福永光司、千田稔、高橋徹共著、2003年10月、朝日新聞社)では、『 道教教典の「雲笈七籤(うんきゅうしちせん)」の巻21によると「三界図に云う。其の天の中心、皆崑崙有り。又の名須弥山なり。其の山高潤にして四方を傍障す。日月、山をめぐりて互いに昼夜をなす。」とあって、須弥山は崑論山の別名と意識されていた。』としか述べていない。当時、中国では、須弥山を中心とした宇宙観が識者の間では常識になっていたので、道教は道教なりに須弥山(崑崙山)を中心とした宇宙観を持っていたことは間違いないが、その宇宙の構造がどのようなものとして認識されていたのかは、判らない。 すなわち、文中の三界図というのが仏教でいうところの三界と同じような概念であり、宇宙の構造を言ったものではない。今私が、明日香の須弥山石に関連して問題にしたいのは「道教が宇宙の構造をどのように認識していたか」である。道教が認識していた宇宙の構造は、第1項において、「扶桑(ふそう)の木」についての中西進の説明を紹介した。すなわち、中西進はその著「日本の文化構造」(2010年3月、岩波書店)の中で、「世界樹といわれる巨樹は天地の中央にあり、傘を広げたよう枝を伸ばしている。そうして、太陽はこの傘に沿って昇ってゆき、また降ってゆくことになる。」と述べている。宇宙は、太陽の運行する傘によって三分されているというのだ。これを現在の知識に照らして言えば、傘の部分を太陽圏とするなら、大気圏と太陽圏と太陽圏外宇宙ということになろうか。私は須弥山石は、この表象であると思う。こういう認識は道教独特のものであろう。

老子の言う道とは、宇宙の原理のことであり、人間は宇宙の原理にしたがって生きていくことが大事なのである。だから、道教では、宇宙の原理について思索を重ねるとともに、天の構造についても以上のような考えを持っていたようだ。須弥山式庭園も宇宙を意識した空間であるが、斉明天皇の作った明日香の庭園も宇宙を意識した空間であったのである。先に述べたように、その庭園で化外の民をもてなすとともに、その庭を身近におくことは自らを神仙に仮託しようとした斉明天皇にとって特別の意味があったのである。

斉明天皇は、明日香の「石神の庭」で化外の民、蝦夷や異国の人たちをもてなしたらしい。「石神の庭」とは、飛鳥の石神遺跡の庭園遺構のことで、昭和50年代に奈良国立文化財研究所が発掘調査によって確認したものである。

斉明天皇は、新羅と唐の連合軍と白村江の戦いを戦って大敗を喫した。「日出(い)ずる処(ところ)の天子、日没する処の天子に書を致す。恙無(つつがな)きや」という国書を隋に届けた大和朝廷としては、大ショックであったに違いない。そこで斉明天皇としては、自らが太く神仙と繋がっていることを示すために両槻宮を建立する必要があったし、蝦夷や異国の人たちに大和朝廷が異国の文化をも取り入れた大国であることを示すために「石神の庭」を作る必要があった。私はそう考える。「石神の庭」の造築に当たっては、わが国伝統文化を駆使するのは当然として、中国伝来の文化をも駆使した。総力を挙げたということである。中国伝来の文化の中に道教文化と祆教(ゾロアスター教)文化があった。したがって、石神の庭には築山と池の他に、中国伝来のさまざまな石造が作られた。須弥山石と石人像は道教のものだが、その他の石造については、中国伝来のものであろうが詳細はよく判らない。須弥山石と石人像は明らかに道教のものであるが、噴水の仕掛けの部分については、どうも祆教(ゾロアスター教)文化の技術によるものらしい。松本清張は、祆教(ゾロアスター教)の影響を重視しているが、それはその通りだとしても、須弥山石と石人像は明らかに道教のものである。「石神の庭」は正に国際感覚に満ちた庭だったのである。
なお、松本清張は、「石神の庭」は未完成に終わり、多武峯の両槻宮も完成しなかったと見ているが、それは如何なものであろうか。私は、やはり、完全に完成したものかどうかは別として、「日本の道教遺跡を歩く」(福永光司、千田稔、高橋徹共著、2003年10月、朝日新聞社)で述べられているとおり、多武峯の両槻宮はそれなりに建立されたと考えている。

上述したように、「日本の道教遺跡を歩く」(福永光司、千田稔、高橋徹共著、2003年10月、朝日新聞社)では、『 ところでこの山形石を崑崙山と解することを一つの選択肢とするならば、同時に出土した石人像は、仙像である可能性が高い。それは道教の神・東王父と西王母(せいおうぼ)ではないだろうか。「水経注」のその崑崙の記述の中にも 東王父と西王母は「陰陽相須(あいもち)ふ」とあり、陰陽相和したペアを大事なモチーフにするのは、これもまた道教の大きな特徴だからである。』・・・と述べているが、この点が道教の心髄をついたもっとも大事な点である。しかし、この点については、いずれ機会を見て説明したいと思う。



老子の言う道とは、宇宙の原理のことであり、人間は宇宙の原理にしたがって生きていくことが大事なのである。道教ではそう考える。だから、道教的に言えば、哲学者とか思想家は、宇宙の原理について思索を重ねることが大事なのである。その助けを借りて、私たちは、 今こそ、最新科学に則り、天の神話を語らねばならない。霊魂の存在とかあの世の存在とかを語らねばならない。すべて正しい道を歩いていくためである。老子的に言えばということだが、私はそう思う。

祈りは、人間が生きていく上で、必要である。科学と宗教は互いに足らざる所を補い合いながら、共に、人間が幸せになるように、正常な形で進歩していかなければならない。

荘子は、神が居ても居なくてもどうでもいい。祈りがあってもなくてもどうでもいい。大事なことは、自分なりの生き方で人生を必死で生きていけば良いと言う。それはその通りであろう。しかし、それは,よほどの人でないとできないことだ。あれほど意志の硬いニーチェでさえ、東洋の神に憧れながらも遂に神との繋がりを持つことがでかなかったために、狂い死にしたではないか。私は、やはり、祈りは必要であるし、神は必要であると思う。宗教は必要である。どんな宗教でも人々の救済に向かわなければならない。

須弥山は、神、天帝、黄帝の住むところという昔の神話を耳にしても、現代の人は、そんな非科学的な話は信じられないと、聴いた瞬間にそう思ってしまうだろう。したがって、今こそ、最新科学に則り、天の神話を語らねばならない。そこで私は、いずれ機会を見て、天の科学を語ろうと考えている次第である。

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