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2013年10月15日 (火)

二つの政治形態(その1民主主義)

二つの政治形態(その1民主政治)

現在、民主政治が理想の政治形態だというのが私たちの常識になっているようだ。しかし、果たして民主政治が理想の政治形態であろうか。民主政治の対極にある政治形態として中国における天命による政治形態があり,これもなかなか捨て難い政治形態である。何故捨て難いのか,それをこれから少し考えてみたい。

 民主主義国家であるかどうかの基準は、いろいろあると思うけれど、私は、フランク・
フクヤマの次の基準が良いと思う。イ、相対立する複数立候補者が存在する、自由で、無
記名で、定期的な男女普通選挙の実施。 ロ、普通選挙によって構成された議会が立法権
の最高権限を持っていることの憲法などの公式文書での明文化。 ハ、議会内における相
互批判的な複数政党の存在。 ニ、自由で多様な行政府批判を行う国内大手メディアが存
在し、それを不特定多数が閲覧できること。
 世界には多様な民主国家が存在しているが、これらはおおむね共通して存在する基準で
ある。したがって、日本は間違いなく、この基準を満足しているので、民主主義国家であ
る。一 方、プラトンの考えによると、「民主主主義の成功のためには、国民の有権者全体が知的教育を受けられること、恐怖や怒りなどの感情、個人的な利害、マスコミによ る情報操作や扇動などに惑わされず理性的な意思の決定ができる社会が不可欠である。つまり徳を持つことである。逆の言い方をすれば、民主主義を無条件に広めると、知的教育を受けていないもの、恐怖や怒りなどの個人の感情や利害損得に影響されやすい非理性的なものも有権者(政治家と選挙民)となり、結果として衆愚政治となりかねない危険がある」ということになってしまいかねない。この点からすれば、おおよそ世界の民主主義国家と考えられている国家は、すべて衆愚政治に陥っていることになる。したがって、現在の民主主義において、プラトンの哲人政治というか強い政治を望む声も出てくるようなことになる。マスコミ亡国論などというものも衆遇政治を忌避するところからでてくる。
現代の民主主義・民主制・民主政は、古代ギリシアにその起源を見ることができる。デ
モクラシーの語源は古典ギリシア語の「デモクラティア」で、都市国家(ポ リス)では
民会による民主政が行われた。特にアテナイは直接民主制の確立と言われている。またヘ
ロドトスの『歴史』では更に寡頭制と専制を加えた三分類が登場し、プラトンやアリスト
テレスが貴族支配や君主支配の概念とともに整理した。ただし古代アテネなどの民主政
は、各ポリスに限定された 「自由市民」にのみ参政権を認め、ポリスのため戦う従軍の
義務と表裏一体のものであった。女性や奴隷は自由市民とは認められず、ギリシア人の男
性でも他のポリスからの移住者やその子孫には市民権が与えられることはほとんど無かっ
た。しかし、後に扇動的な政治家の議論に大衆が流され、政治が混乱しソクラテス が処
刑されると、プラトン・アリストテレス・アリストパネスなどの知識人は民主政を「衆愚
政治」と批判し、プラトンは「哲人政治」を主張した。後にアテネ を含む古代ギリシア
が衰退して古代ローマの覇権となると、大衆には国家を統治する能力は無いと考える時代
が長く続いた。
 塩野七生など学識経験者で、今の政治に対し、哲人政治とまではいわなくても、強い
政治を望む声が少なくないのも事実だと思うが、そういう人の考えには、プラトンなど古
代ギリシャの知識人の考えが、潜在的に影響しているのではないか。かかる観点から、哲人政治を理想とするプラトンの考えに照らして、中国における天命思想にもとづく政治形態は大変魅力のある政治形態であるように見える。

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