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2013年7月28日 (日)

最終章第1節

邪馬台国と古代史の最新

第10章 邪馬台国は近江だ!

第1節 倭国大乱

倭国大乱の原因についてはいろいろな説があるが、私は先に、「 全国のクニグニが力をつけてきた時、互いに戦い合うのは当然である。それは、歴史的必然であると言って良い。」と述べたが、その真意は、権力闘争というのは、そもそも人間の闘争本能から生じるものであって、クニグニの権力者が誕生したとき、必然的に権力闘争が起こったというものである。だから、倭国大乱というものは、局地的なものでなく、全国の各地で起こったのだと思う。その時、何が困るか? 魏志倭人伝や後漢書に倭国大乱のことが書かれているのは、当時、倭国と中国との交流が盛んであったことを意味しており、倭国大乱によって途絶えた。このことによって誰がいちばん困るか? 

倭国大乱によっていちばん困る者、それは交易商人のボスである。私はすでに、縄文時代において、国内の交易ネットワークがあったことを述べたが、弥生時代になって、中国との交易が盛んになると、中国側にも多くの交易商人が活躍し、それを束ねるボスが誕生していたのである。そういうボスが存在しない限り、卑弥呼の朝貢団は中国の皇帝のところまで行ける訳がない。遠路はるばる旅することもできないし、そもそも皇帝のお目どおりすることも困難であった筈である。

中国系技術者集団は、交易を広範囲に行う集団でもある。その場合、クニグニの豪族が相争っていては、商売に差し支える。何とかこれが収まって、中国との交易ができることを望んだ筈である。その交易拠点は、九州北部であることは言うまでもない。従来通り朝鮮半島や中国との交易ができるよう、卑弥呼を引っ張り出した。それが私の考えだ。したがって、私は、魏志倭人伝に出てくるクニグニとは30カ国とは、西日本だけでなく、東日本のクニも含んだものであったと考えている。私は、今、邪馬台国畿内説の立場に立って、邪馬台国は大和か近江かを論じようとしているので、当時のクニグニ・30カ国がどこにあったかが基本的に大事なのである。

瀬戸内海沿岸地域における高地性聚落の存在を以て、それが倭国大乱の証拠だと考える説があるが、私は、倭国の大乱をそのように特殊化して考えるのには反対だ。高地性聚落というのは、ある特殊な緊張状態におかれた時の聚落の防御態勢の一つであって、いわゆる「倭国大乱」と呼ばれる卑弥呼が擁立される直前の大乱、その時にはじめて出現するものではない。縄文時代から弥生時代に入って、稲作による富が蓄積されると貧富の差ができてくる。そして、土地の奪い合いが起こってくる。やがては、権力者というものが誕生する。権力者というものは、もともと土地の奪い合いによって誕生したものであり、本質的に領土拡大を図ろうとする。したがって、弥生時代が進んでくると、先に述べたように、「クニグニの権力者が誕生したとき、人間の闘争本能によって必然的に権力闘争が起こった」のである。クニグニの間に絶えず戦いが起こっていた。それが弥生時代の中期の姿ではないかと思う。邪馬台国の関係でいえば、100余国のクニグニが倭国大乱の頃は30カ国ほどに減少していた。ということは、邪馬台国にはクニグニの王、つまり地方の豪族が30人ほどいたのである。
もちろん、多くの渡来人によってそれまでの縄文人との間に混血が始まり、やがて弥生人が誕生してくるのだが、渡来人と在来人との間に戦いもあったであろう。その典型的な遺跡が「土居ヶ浜遺跡」だが、鏃の刺さった人骨が多数遺跡墓から見つかっている。しかし、渡来人と縄文人との戦いというのも特殊例であり、弥生時代の前期に日本列島各地で起った乱は、上述のように、「クニグニの権力者が誕生したとき、人間の闘争本能によって必然的に権力闘争が起こった」乱である。そして、倭国大乱は、それらの乱とは比較にならない規模の大きい戦争であったのである。このような歴史認識をしておかないと、魏志倭人伝も正しく理解することはできない。


この最終章は、私が「邪馬台国は近江だ!」と考える根拠を書いたものです。もちろん、今ままで縷々述べてきた第1章から第9章までの内容が最終章の背景としてある訳ですが、この本の最終結論はこの最終章です。もっとも大事な章ですので、第1節から第3節までその内容ごとに分類しながら、紹介していきたいと思います。しかし、一気に最終章全体を読みたい方のために、章全体をアップしておきます。
http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/yamatai10.pdf

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