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2013年5月22日 (水)

最初の日本人とその広がり

最初の日本人とその広がり

日本列島の黒曜石については「遊動する旧石器人」(稲田孝司、2001年12月、岩波書店)という本がいちばん良く書かれている。しかし、これを読むと、ねつ造事件は論外だけれど、最初の日本人はおおよそ8万年前であり、野尻湖にはひょっとすると5万年前に人が住んでいたかもしれないと思ってしまう。岩手県に人が住み始めたのはせいぜい4万年前であるし、野尻湖に人がやってきたのはおおよそ4万年前である。この点の説明を以下にしておきたい。

まず、柏山館遺跡はねつ造事件以降再調査をやっていないので、ここでは金取遺跡の方を取り上げる。金取遺跡では、宮守村が2003年に再調査を行ったところ、「 縄文時代前期・晩期の土器とそれに伴うと見られる石器が出土したが、確実な旧石器時代の遺物を検出することができなかった。」とのことである。この再調査は全域にわたる調査ではないので、この調査だけで5万年を越える石器が出土しないと言い切ることはできないので、私は、次のことを申し上げたい。
岩手県にやってきた最初の人は、氷河期にスンダーランドから黒潮に乗ってやってきたか、対馬海峡や津軽海峡の氷河期の陸橋をわたってやってきたかいずれかである。しかし、今のところ、全国的にみて、おおよそ5万年前頃にはその気配はない。

私は、5万年前頃、最初の日本人は黒潮に乗って渥美半島に上陸したのではないかと想像しており、長野県は飯田市山本の佐竹中原遺跡の調査結果を見守っているが、今のところそれが果たして5万年前の遺跡なのかどうかは確定していない。佐竹中原遺跡がおおよそ5万年前頃の遺跡ではなかろうかと考えている考古学者も少なくないが、私もそのように考えている。私が昔、飯田市山本で泊まったとき、宿の女将さんがこの付近ではこんなのが出るんですよと言って見せてくれた石器を見て、中央道の建設工事のときに発掘された石器が日本最古のものではないかと噂されていたことを思い出し、なるほど黒潮に乗って渥美半島に到来した人々が豊橋から設楽を通って飯田市までやってきたのではないかと想像したのを思い出している。

私は、黒潮に乗って渥美半島に上陸したの一派あるいは他のグループが伊豆半島を越えて熱海までやってきたと考えている。熱海の旧石器人は、造船と航海技術に長け、駿河湾と相模湾を自由に行き来していたようであるが、その人たちの中から東京湾を越えて岩手県までやってきた人たちがいたのではないか。黒潮は伊豆半島付近で誠に複雑な流れをする。ぼやあっとしているとジョン万次郎のようにアメリカまで漂流せざるを得ない。沿岸流をうまくとらえながら、北上するのはよほど航海技術に長けていないといけない。しかし、熱海の「海の民」はそれが可能であった、と私は考えている。こういうことを考えていくと、岩手県に最初の人々がやってきたのは、おおよそ4万年前頃を思われる。私の考えでは年代を相当引き下げざるを得ないが、それにしても4万年前の岩手県に既に人々が住んでいたということは凄いことである。

縄文時代になると、西日本から多くの人々が東北地方にもやってくる。しかし、北海道から津軽海峡をわたって東北地方にやってくるのは、「湧別技法集団」の南下まで待たなければならない。「湧別技法集団」の南下によって、初めて土器が誕生するので、東北地方の発展を考える場合も、「湧別技法集団」の南下というのは重大な意味を持っている。土器というものは、「湧別技法」という高度な技術をマスターした人々が発明した。そのことについては、私の次のホームページを参照されたい。
http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/jyokigen.html

私は、黒潮に乗って渥美半島に上陸した最初の日本人が長野県は飯田市までやってきたのは、おおよそ5万年前頃ではないかと考えているので、これらの人々が諏訪湖まで遊動していって、その周辺で子孫を増やすのはそれ以降のことである。最初の日本人のひろがりがもととなって、八ヶ岳山麓の一種独特の文化が作り上げられた、と私は考えており、旧石器時代や縄文時代の文化を知るには、八ヶ岳山麓がいちばん良いと思う。時代はずっと下って縄文時代となるが、かの有名な「縄文のビーナス」を生み出すのも八ヶ岳の縄文文化である。

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