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2013年5月17日 (金)

日本の技術力

日本の技術力

古来より技術は人類の生活をよりよくするために向上が続けられ、そしてその一部の技術は軍事的にも利用され、また軍事目的に特化して開発された技術もある。技術と軍事は歴史においてもその関係性が重要であることが指摘されている。軍事技術というものは国家の意思によって左右される。その際大事なことは、軍事技術といってもさまざまな要素技術から成り立っているので、飛躍的に軍事技術が発達すれば、民需の技術も飛躍的な発展を遂げるということである。しかし、国の意思というものは、軍事技術にだけ働くものではなく、民需に向けられる場合も少なくない。イギリスで産業革命が始まった要因として、原料供給地および市場としての植民地の存在が大きく関係しているといわれているが、これは国家というものが技術の飛躍的発展に大きく関係したことの歴史的事実である。
古来、中国は、国家の意思に支えられて、いろんな技術が発達した。その技術が日本に伝わってきた。中国からの外来技術によって、日本の技術開発が触発されたことは疑う余地がないが、ここで留意すべきは、日本の受け入れ態勢である。受け入れ態勢というものを考える場合に、大事な点が二つある。一つは、古代でいえばクニグニということになるが、各豪族の力である。もう一つは、その地域の技術者集団の能力である。私は、その後者の問題について、極めて大事なことを申し上げておきたい。外来技術を受け入れるにしても、またそれに触発されて新たな技術開発をするにしても、その地域の技術者集団の技術能力が関係するのはいうまでもないが、日本の場合、その能力が世界に冠たるものがあった。それは、伝統技術というか、潜在的な技術力のことである。

伝統技術というものは伝承されるから伝統技術という。現在の技術は、昭和の技術を継承し発展させたものであるし、昭和の技術は大正の技術を継承し発展させたものであるし、大正の技術は明治の技術を継承し発展させたものである。また、明治の技術は江戸時代の技術を継承し発展させたものである。明治時代に、西洋から外来技術が入ってきたが、日本はこれを瞬く間に吸収し、さらに新たに発展させた。これは世界の奇蹟だという向きもあるが、奇蹟でもなんでもなく、日本は江戸時代の素晴らしい技術をベースとして、外来技術を日本化したに過ぎない。江戸時時代の技術は、戦国時代の技術を継承し発展させたものである。このように、技術というものは、次々と伝承されていくものである。では、日本の伝統技術はどこまで遡るのか? 実は、旧石器時代まで遡るのである。黒曜石の細石刃技術という世界でも冠たる技術があって、土器というものが発明された。このことをいまここで、私は特に言いたいのである。

縄文文化という世界最高の文化がヨーロッパや西アジアに先駆けて4000年ほどはやくこの日本に誕生した」ということをアッピールしだしたのは,小林達雄である。小林達雄には、「縄文土器の研究」(2002年4月,学生社)ならびに「縄文の思考」(2008年4月、筑摩書房)というすばらしい著書がある。 彼は,「縄文土器の研究」(2002年4月,学生社)で「少なくとも日本列島の縄文土器は,世界の先史時代における土器づくりレースのなかで、そのスタートがもっとも早かったグループの一つであることはほとんど間違いのないことであろう。」としか言ってないが,「縄文の思考」(2008年4月、筑摩書房) では次のように言っている。すなわち、

『 土器の製作開始は,重大な技術的革新性を意味するのではあるが、世界のあちこちで独立して発明された訳ではない。その多くは発明地からの伝播をうけて普及したものである。しかし,発明地は一カ所ではなく,少なくとも三カ所はあったと考えられる。その一は,西アジアであり、土器出現の過程が詳細に捉えられている。9000年前頃と大方の研究者は結論づけており,その年代には今後とも大きな変動はないであろう。その二は、アメリカ大陸であり,アマゾン河流域に 古い土器の存在が確認されている。しかし,遡ってもせいぜい7500年程度である。よりふるい時の新発見があれば、それがそのまま新大陸において独自に土器の発見された年代更新ということになるが、いまのところ一万年の大台には決して届かないものと予想される。その三が日本列島を含む東アジアであり,一万年をはるかに超える古さに遡り,西アジアにおける土器製作の開始年代を少なくとも4000年以上も引き離して断然古い。』・・・と。

 世界に先駆けること4000年ですよ。4000年! 縄文時代に,世界最高の文化がわが国で花開いていたということである。これは私たちの世界に誇るべきことではないか。私は、日本の中小企業の技術は世界に冠たるものを持っていると考えているが、その源(みなもと)は縄文時代まで遡る。否、黒曜石の加工技術、湧別技法を考えると旧石器時代にまで遡(さかのぼ)る。

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