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2012年10月10日 (水)

私の電子書籍「祈りの科学シリーズ(6)」第7章より

第7章  地域通貨の流通条件

  地域通貨は,閉塞感に満ちた今の世の中を打開する起爆剤になるかもしれない。私はそんな感じを持っていて,わが国でも何とか地域通貨を根付かせたいと考えている。

「エンデの遺言」のあと,雨後のタケノコのように全国各地で地域通貨が誕生したが,私の知る限り,成功例は一つもない。その原因はうまく流通しないことにある。うまく流通しないために、経済的な力を持てない。お遊びといってはちょっと語弊があるが、まあそんなところだ。経済的な力を持つ、つまりそれが地域力の源泉になるためには、うまく流通しないとダメ。うまく流通する条件として、私は、贈与の三角形といっているのだが、農家と商店とNPO、この三つの間を流通しないとダメだと考えている。

 もちろん、その三角形の頂点にNPOがあり、それが地域通貨を発行するし、全体的な旗を振っていく。なお、これは当然のことだが、NPOは、運営に必要な円は寄付を受け、それで運営するのを原則とするというものでなければならない。運営に必要な円を地域通貨と交換するというようなことはゆめゆめ考えてはならない。地域通貨は、法的にも、円と交換できないものである。

 贈与の三角形でいちばん大事なのは地域農業である。地域農業は市場作物と贈与作物を作る。地域農業の担い手は、兼業農家や高齢農家,或はご主人が働きに出て行ってお母ちゃんやおじいちゃんやおばあちゃんでやっているいわゆる三ちゃん農業であっても良い。農は地域の基本であり、国の基本である。「祈りの科学」シリーズ(4)の第3章で述べたように、農はただ単に食料を作っているだけでなく、国の精神を作っている。さらに、中沢新一いうところの純粋贈与であることの意味は大きい。したがって、三ちゃん農業などの家族農業はしっかり守らなければならない。しかし、地域農業の主力はやはり農業法人と地域企業である。そして私が新しい企業形態としてその発展を期待しているのは農を中心とした第六次産業である。したがって,第六次産業としての地域企業は,市場作物のほか贈与作物も作らなければならない。贈与作物はもちろん地域通貨でやりとりがされる。

 ところで、道の駅は地域の交流拠点である。残念ながら今はそうなっていない。私は広島で中国地方建設局長をやっていたとき、全国で最初の道の駅を作るとともに、建設省道路局に働きかけて道の駅の制度を作ってもらった。私は、いわば道の駅の元祖であり、当初から道の駅は地域の交流拠点にすべきだと考えてきた。そこが高速道路のサービスエリアなどともっとも違うところだ。したがって、私は、地域通貨の流通拠点は道の駅がいちばん良いと考えている。そして、道の駅は、市町村の指定管理者制度ではなく、市町村が行うPFI又はPPPで民間企業が運営すべきだと考えている。民間企業が主導権を握る訳だ。民間企業のノウハウと資金を大いに活用すべきだ。道の駅の運営に民間企業が乗り出していけば、道の駅はこれから大きく進化していくに違いない。

市場作物の栽培には、人件費として円と地域通貨が支払われる。農村部に若い人が少ないので、援農隊員というか助っ人を都市部から派遣する必要がある。道の駅の運営主体である民間企業は、市町村やNPOの協力を得て、都市の中心商店街で青空市場を開くと良い。もっと都市と農山村との交流が深まるだろう。援農隊員はきっと集まる。その人たちには主に円が支払われるが、ある程度地域通貨で支払うことも考えねばならない。地域通貨の割合が高ければ高いほど都会に売り出す市場単価は安くなる。つまり、地域通貨のお陰で、市場競争においてコスト的に有利になるという訳だ。シャッター通りになっている中心商店街の青空市場に多くの買い物客が集まってくるだろう。中心商店街と繋がりを持った農家はそれなりに潤い、農業経営に余力が出てくるに違いない。農業経営に心配がなくなるということだ。後は品質を良くすることに力を注げばいい。

 商店もできるだけ多くの商品を地域通貨で売ることが望ましい。しかし、それを強要することはできないので、商工会議所及び商店街組合の全面的な協力が必要だ。地消地産の原則の元、農家で必要なもの、地域で消費するものはできるだけ地元でつくるように働きかける。どうしても地元につくる人が出てこない場合は、商工会議所が中心になって,第六次産業を興す必要があるかもしれない。
 なお、ちなみに言っておけば、地産地消は生産者の論理であり、こういうものを生産したからそれを消費せよというもの。地消地産は消費者の論理で、こういうものを消費したいからそれを生産しろというものである。これからは電気も地消地産でなければならない。地域で消費するから小水力発電など地域で発電しようという訳だ。地域の自立のためには地消地産でなければならない。贈与経済はそういうものだ。そして、贈与経済の中心拠点は道の駅である。


私の電子書籍「祈りの科学シリーズ(6)」は、電子書籍ショップで購入していただけると誠にありがたいのですが・・・。
http://honto.jp/ebook/pd-series_B-MBJ-27435-9-124989X.html

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