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2012年10月10日 (水)

私の電子書籍「祈り科学シリーズ(7)」第3章より

第3章 合衆国憲法とインディアン

 

 アメリカ先住民族(インディアン)と私たち日本人は同じ人種のモンゴリアンである。したがって、イ ンディアンと私たちは、「野生の思考」というか縄文の感性というか、かなり似た神話を持っている。そういう点からすると、わが同胞・インディアンということになるかもしれない。
 河合隼雄(かわいはやお)はその著『ナバホへの旅 たましいの風景』(2002年、朝日新聞)のな かで、日本の代表的な王朝物語『源氏物語』とイギリスの象徴的な文学であるシェークスピアの作品を比較し、後者においては「殺人」が重要なテーマになって いるのに対し、前者は「密通」がテーマであるという。その本質的な違いは、殺人は「関係を切る」罪であり、密通は「関係を持つ」罪だということである。そういう面でいえば、日本とナバホでは同じであり、ともに競争よりも「和」を大事にする。「和」とは関係をもつことである。ヨーロッパはその対極にある。
 さて、星川淳によれば(『小さな国の大いなる知恵』、ポーラ・アンダーウッド/星川淳、1999年、翔泳社)、アメリカの建国の父といわれる人たちは、初代から第5代の大統領に到るまで、インディアンのイロコイ族の影響を受けており、アメリカの独立宣言やその憲法には、イロコイ族の思想が色濃く反映されているという。合衆国憲法制定会議の起草メンバーたちは、「インディアン・クイーン」という居酒屋で熱い論争を交わしたという。そして、アメリカ建国の足どりはイロコイ族に「手を引かれるようにして」進んだのである。
 「トクヴィル、平等不平等の理論家」(宇野重規、2007年6月、講談社)という本がある。それによれば、フランスの偉大な政治家・トクヴィルは、アメリカ建国期のあと大した政治家がいないのに、アメリカという国がそれにもかかわらず問題なく動いている、という事実に驚いたらしい。すなわち、アメリカの政治体制は、かならずしも 政治家の個人的有能さに依存せずに運営されているという事実こそ、トクヴィルが着眼したポイントであった、それが宇野重規の見立てでもある。その原動力は、上記の著書では「タウンシップ」と呼んでいるが、私の言葉でいえば「地域コミュニティのデモクラシー」にある。アメリカのデモクラシーは、建国の父たちがアメリカインディアンの影響を強く受けたところに出来上がった。アメリカのデモクラシーはボトムアップで出来上がってい るのである。今でも草の根民主主義が盛んだ。日本の場合も、これからは、そういう草の根民主主義にもとづいた地域力に期待したいものだ。

 わが国の場合は、歴史と伝統に裏打ちされたところから、天皇という統合の象徴をいただいている。そ ういう歴史と伝統がアメリカにはないが、もちろん歴史と伝統の浅い国でも、それなりの歴史と伝統がある。アメリカの歴史と伝統……それは建国の精神だ。それは自由とデモクラシーである。 戦争だけが戦いではない。思想的な戦い、新しい文化を創る戦い、そして文化におけるフロンティア……これもアメリカが 挑戦しなければならない辺境であろう。アメリカは、ふたたび、インディアンの大いなる「野生の知恵」に学ばなければならないのではないか。そのなかから「違いを認める文化」を創りだすことだ。
 アメリカの建国精神・自由主義も「違いを認める文化」の上に立った自由主義に進化していって欲しい。その芽は出てきている。ジョン・グレイの政治哲学である。これについては私の論考がある。是非、http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/jyongu00.html を参照されたい。
 ここにわが国とアメリカの連携の核を見出すことができないか? この核を導きだせば、おそらく世界は平和の道を進んでいくことができるだろう。平和への道……それは「野生の思考」を基盤とする「違いを認める文化」の創造であ る。私は今後、そういう「違いを認める文化」の創造に取り組む人たちが日米に増えることを願っている。そして、その文化を創る人たちが、「環太平洋の環」 (太平洋に沿った国々)に増えることを願っている。


私の電子書籍「祈りの科学シリーズ(7)」は、電子書籍ショップで購入していただけると誠にありがたいのですが・・・。
http://honto.jp/ebook/pd-series_B-MBJ-27435-9-124989X.html

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