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2012年9月26日 (水)

地域コミュニティとマイノリティ

地域コミュニティとマイノリティ

 ジグムント・バウマンの「コミュニティ・・・安全と自由の戦場」(訳者奥井智之(奥井友之)、2008年1月、筑摩書房)という本がある。サブタイトルの「安全と自由の戦場」という意味は、「安全と自由という二律背反的なものがせめぎあっているところ」という意味であるが、この本はコミュニティを考えるのに必読書かと思われるので、それを下敷きにしながら、以下に私独自のコミュニティ論を説明したい。まず上記著書の冒頭に人びとの描いているコミュニティのイメージを次のように述べている。すなわち、
 『コミュニティは「暖かい」場所であり、居心地がよく、快適な場所である。それは、ひどい雨から身を守ってくれる屋根のようなものであり、凍えるほど寒い日に手を温めてくれる暖炉のようなものである。外では、街路では、ありとあらゆる危険が待ち構えている。外出に際して、油断は禁物である。こちらから話しかける人、向こうから話しかけてくる人に用心しなければならず、片時も警戒を怠ることはできない。しかし、内では、コミュニティでは、私たちはリラックスできる。ここは安全で、暗い街角で不気味に迫ってくるさまざまな危険とは無縁である(たしかにここでは「闇の曲がり角」はほとんど見いだせない)。コミュニティにおいて、私たちはみな互いに良く理解しているし、耳にしたことは信用でき、たいていは安全である。当惑したり、困惑したりといったことは、ほとんどない。私たちは、互いに決して「よそ者」ではないのである。時にはケンカをすることもある。しかしそれは友好的なケンカであって、みなで、自分たちの一体性をこれまでもより高め、楽しいものにしようとしているだけである。その一方で、協力して自分たちの生活を改善したいという願いを共有しながらも、どうするのが一番良いかについて、意見が一致しないこともある。しかし決して互いの不幸を願うことはなく、他のメンバーすべてが自分の幸福を願っていてくれると信じることができるのである。 さらに言えば、コミュニティでは、互いの善意を期待できる。つまずいたり倒れたりしても、他のメンバーが、立ち上がるのを手助けしてくれる。からかったり、無様だとあざけったり、相手の不幸を喜んだりする者は、だれもいない。もし間違いをしでかしたとしても、必要ならば、打ち明けて、説明し、謝罪し、悔悟することもできる。人びとは共感を持って話を聞き、許してくれる。結果として、ずっと悪意を持ちつづける者などいないのである。そして悲しいときには、いつも誰かが手を握ってくれる。』・・・と。
 そして、バウマンはその後で、『「コミュニティ」は、今日では失われた楽園の異名ではあるが、私たちはそこに戻りたいと心から望み、そこにいたる道を熱っぽく探し求めているのである。』と言っている。すなわち彼は、コミュニティとは「想像のコミュニティ」であっていわばユートピアみたいなものであり、「既存のコミュニティ」はそれとはほど遠いと言っているのだ。そして彼は次のように言う。すなわち、
『コミュニティを失うことは、安全を失うことを意味する。コミュニティを得ることは・・・たまたまそんなことがあればだが・・・即座に自由を失うことを意味する。安心と自由は、ともに等しく貴重かつ熱望される価値であるが、それらは、善かれ悪しかれバランスを保っているが、両者の間で調和が十分に保たれて、軋轢の生じないことはめったにない。』
『安心と自由の間の論争は、そしてまたコミュニティと個別性の間の論争は、解決がつきそうもないものであり、今後も長い間続くものと思われる。』・・・と。

 そうなのである。私の問題意識はまさにそこにあって、現実には難しくとも、そういう理想のコミュニティに向かって努力することが肝要である。私は、バウマンが楽園の異名といったり、ユートピアみたいなものといったり、「想像のコミュニティ」といったりしている地域コミュニティを、マイノリティを救済するNPOが存在するという大前提で、私たちが現実に目指すべき理想のコミュニティと呼ぶことにする。私は、バウマンが言うように、地域コミュニティからはじき出されるマイノリティが出てこざるを得ないが、マイノリティが助けを求めて逃げ込む避難所がどこかにあれば、その地域社会は健全で慈悲に満ちていると思う。私たちはそういう理想的な地域社会を「地域コミュニティ」を中心に創り上げていかなければならない。民主主義の原点は草の根の民主主義であり、ポピュリズム(大衆主義)にもとづき民主主義を進化させるには、地域コミュニティにおける草の根民主主義が不可欠である。しかし、その地域コミュニティには、別途マイノリティーの「駆け込み寺」のようなNPOが存在するというのが大前提である。

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