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2012年7月22日 (日)

「祈りの科学」シリーズについて

http://honto.jp/ebook/pd-series_B-MBJ-27435-9-124989X.html

 私は,広島で建設省中国地方建設局長をしていたときに,地域づくりの実践活動をやりながら,「哲学の道研究会」という組織をつくって、哲学の道にのめり込んでいった。河川局長を辞めて,河川環境管理財団の理事長時代にも全国総合開発計画の見直しに当たって,小論文を書くなり,平和な国づくりについていろいろ思索を重ねてきた。そして参議院時代に上梓した「劇場国家にっぽん」に引き続いて,地域づくりの立場からずっと「哲学の道」を歩いてきた。
 その後,参議院議員を引退してからも,景観哲学の勉強をしたり,ジョン・グレイの政治哲学を勉強したり,サンデルの「正義論」を勉強したり,柄谷行人の「トランスクリティーク」や「世界史の構造」を勉強したり,エンデの思想を勉強したり,「尊厳」や「祭りの魔術化」について、あるいは「地域コミュニティの哲学」や「地域通貨の哲学と実践」について書くなどいろいろ勉強を重ねてきた。その間,中沢新一の著書はすべて勉強してきている。そして,今後,日本は世界の文明を変える力を発揮するだろう確信を持つようになったのである。
 仕事の関係で親しい友人広岡聖二君を通じて中村恵子という素晴らしい女性と知り合って,「これからはアイフォーンの時代。志を持って,ふるさとの親善大使を勤めることのできる・・・スマートガールという若い女性のネットワークを広げたい。岩井さんの哲学をもっとわかりやすく語って欲しい。」という申し出を受けた。彼女は中沢新一のファンだそうである。私も私の哲学や思想を広めることは願ったり叶ったりであるので、それじゃあ一緒にやろうということになって,準備を始めたのである。その矢先に東日本大震災が発生した。
 今回の大震災は津波被害はいうに及ばず福島電発の放射能汚染の被害も重なって,まさに未曾有の国難である。私は,戦後の国難よりはるかに困難な事態であると考えている。戦後の復興に当たっては,アメリカという国の指導があったし,また国が目指すべき方向もはっきりしていたのではなかったかと思う。しかし今回は違う。世界のどこにもないまったく新しい価値観で立ち向かわなければならないのである。パラダイムの転換が不可欠であると思う。
 パダイムシフト,そこにはもちろん哲学に裏打ちされた思想が必要だ。地域づくり,国づくりについても,今までにない方法で人々に希望と勇気を与えながら,国民みんなが力を合わせてこの国難に立ち向かうことが何より大事なことだ。私は今こそ,「平和な国づくり」に邁進することが肝要だと考えた。平和の哲学,今こそ実践すべき時だ。そう考えると,今までの私の哲学や思想では何かが欠けているのではないかと思わざるを得ない。

 そこで私は,中村さんのお話を聞きながら,リズムの勉強をどうしてもしなければならないと思ったのである。今まで勉強してきたものに,「リズム(波動)の摩訶不思議な力」を科学的に説明する論理を加味できれば,今までの私の哲学も、もっと説得力を持って若い人に話ができるのではないか。そう考えて今回の電子出版となった。この本の狙いは,「平和国家の原理は何か?」、「日本は今後どうなるのか? あるいはどうあるべきなのか?」を私なりの言葉で語るところにある。このシリーズ「祈りの科学」の根拠は「祈りの科学」シリーズ(1)の「<100匹目の猿>が100匹」にある。

 「祈りの科学」シリーズ(1)の「<100匹目の猿>が100匹」は,最新の科学的知見をもとに書いたものである。その結論は、「リズム」と「祈り」というものが極めて重要であるということだ。そして、「リズム」をキーワードに人類学を発展させる必要があるとの観点からこのシリーズには「リズム人類学の進め」というサブタイトルをつけた。日本は本来「祈り」の国であり、「祈りの国にっぽん」と称してよい。 今後、 日本は、そこに大いなる誇りと大きな自信を持って、世界平和のために尽力していかなければならない。
 ところで、これからの日本復興に当たっては何よりも地域の自立を図ることが必要であり、パラダイムの転換が必要である。 祈りの科学」シリーズ(2)以下は、「 祈りの科学」シリーズ(1)の知見にもとづいて、 私の哲学なり思想の集大成として、今までにないまったく新しい価値観を論じたものであるが、2011年10月に私のもっとも尊敬する哲学者・中沢新一によって「野生の科学研究所」が誕生したので、「野生の思考」の重要性を意識して書いた。したがって、全体を貫くキーワードは「祈り」と「野生の思考」である。
 「祈りの科学」シリーズ(2)「今西錦司のリーダー論と松尾稔の技術論」は、私の仲の良い同級生松尾稔君(元名古屋大学総長)との対談を紹介するとともに、脱電発の技術的根拠を述べ、地域づくりにおいて、小水力発電等自然エネルギーの開発の必要性を述べている。松尾稔君との対談では彼に今西錦司のリーダー論を語ってもらうと同時に彼の技術論を語ってもらっている。これは大変貴重な記録であると思う。
 「祈りの科学」シリーズ(3)「怨霊と祈り」は、地域づくりのソフトな面として「祭り」の重要性を述べているが、それをさらに進化させて世界平和にどう繋げるかを論じている。いろんな「祭り」を進化させ世界平和に繋げたいものだ。
 「祈りの科学」シリーズ(4)「祈りの国にっぽん」は、国の基礎は地域コミュニティにあることを述べ、地域づくりにおいて、「農」の重要性を充分意識することが肝要であると同時に、「祈り」の場づくりすなわち「神々のやどる場づくり」の重要性を述べている。

 「祈りの科学」シリーズ(5)「天皇はん」は、 天皇は国民あっての天皇、国民は天皇あっての国民であることを述べ、国家的見地から、「祈りの科学」シリーズ(4)「祈りの国にっぽん」を補強したものである。
 「祈りの科学」シリーズ(6)「地域通貨」は、地域の自立的発展のためには「地域通貨」を欠かすことができないことを述べ、世界構造論による「地域通貨」の位置づけを行っている。今の市場経済ではもはや世界はやっていけないと思う。どうしても「地域通貨」をまずは日本に普及させなければならない。
 「祈りの科学」シリーズ(7)『「野生の思考」と政治』では、 「平和の民モンゴロイド」という基本的認識に立って、アメリカインディアンのアメリカ建国に果たした大きな役割を紹介しながら、あるべき「野生の思想」と「祈り」の重要性を述べている。そういう基本的認識に立つとき、TPP問題や沖縄問題に対する正しい認識がなされる筈であり、TPP問題に対応して地域コミュニティの「農」のあり方が議論されなければならないし、沖縄問題に対応して沖縄の風土を活かした持続的発展が構想されなければならない。さらには、平和の民モンゴロイドとの連携が地域づくりにおいても考えられなければならない。
 「祈りの科学」シリーズ(8)「地域づくりと神さま」では、新しい価値観にもとづいて如何に「日本型ジオパーク」を整備していくべきかを述べ、さらには地域の「リズム」の重要性を述べている。これからは「リズム」の時代である。各地域の元気再生を図る場合、「リズム」が不可欠である。

 これからは「エコ」から「ジオ」の時代であると思う。「ジオ」の時代とは「地球の時代」,否「宇宙の時代」である。視野の狭い「エコ思想」からの脱却を図らなければならない。かの有名なラブロックの「ガイヤ説」は未熟であると思う。宇宙の波動に対する認識が欠けている。ガイヤ(地球)は生きているというのはその通りである。ガイヤは母であるというのもその通りである。しかし天には父がいるのである。母と父がいないと子供という宝物は生まれてこないのだ。私は母と父のどちらが大事かと問うているのではない。どちらも大事。一体不可分のものである。そういう感覚を養っていただけるようにこの「祈りの科学」というシリーズを書いた。誠に未熟な内容だけれど、世に一石を投ずることができれば望外の喜びである。着眼点において、ラブロックの「ガイヤ説」を超えたと思う。『「祈りの国」にっぽん』のますますの発展と世界貢献を心から願う次第である。

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